新たにデザインの現場に足を踏み入れた方に贈る、クリエイティブに必要な10の基礎知識。この連載では、国内最大級のストックフォトサイトを運営するアマナイメージズが、広告やWEBの制作に欠かせない基礎知識や知っておくと役に立つ仕事のヒントをお伝えします。
制作物をつくる上で、知的財産権や被写体の権利について知っておくことは非常に重要です。今回は、デザイナーが最低限知っておくべき知的財産権、特に著作権についての基本的なポイントを解説します。
知的財産権とは
知的財産権とは、人間の創造的活動によって生み出されたものを創作者の財産として保護するための権利の総称です。中でも制作物をつくる上で留意するべき権利は以下の3つです。
■著作権
自らの思想・感情を創作的に表現した著作物の利用を排他的に支配する権利
(文学・詩など/音楽/ダンス・パントマイム/絵画等の美術/建築/地図・図形/映画/写真/コンピュータ―プログラム)
■商標権
商標登録出願を行うに当たって指定する商品やサービスについての登録商標を排他的に使用する権利
(ロゴ/トレードマーク/商品やサービスの名称/コカ・コーラの瓶などの立体造形物/色/音/ホログラム)
■意匠権
物品の形状・模様・色彩、またはそれらの結合によるデザインを排他的に使用する権利
(車やパソコンなど、工業製品のデザイン/物品の操作のための画面デザイン)
クリエイティブの基本の権利、著作権
知的財産権の中でも、デザインをする上で欠かせないのが著作権です。クリエイティブの基本の権利、著作権について、さらに詳しく見ていきましょう。
著作権とは”思想または感情が創作的に表現された”著作物の利用を排他的に支配できる権利で、写真やイラスト、グラフィックデザイン、映像も著作物として保護の対象になります。出願や登録といった手続きを必要とせず、創作と同時に権利が発生し、日本では原則として著作者の死後50年間保護され(2017年5月現在)、保護期間が終了すると、パブリック・ドメインという誰でも自由に著作物を利用できる状態になります。
■著作権の種類
著作者人格権(人格権)
・著作者の意思や名誉を保護
・著作物を公表するかしないか、氏名を表示するかしないか、改変してもよいかなどを決める権利
・著作者だけが持つ権利で、譲渡・相続はできない
著作権(財産権)
・著作物の利用によって得られる利益を保護
・著作物の利用(複製、出版、上演、展示、インターネットでの公開、二次的な著作物の創作など)の許諾または禁止を決める権利
・原則として著作者の死後50年間保護され、一部または全部の譲渡・相続が可能
著作隣接権
・著作物を作ったわけではないが、伝達に寄与した実演家、レコード製作者、放送事業者などの権利
・実演家、レコード製作者、放送事業者にそれぞれ認められた権利がある
・実演、音源の発行、放送などから50年間保護される
■著作権保護期間
通常の著作物:著作者の死後50年
無名・変名の著作物:公表後50年(公表後50年経過前に死後50年経過したと認められれば死後50年)
団体名義の著作物:公表後50年(創作後50年以内に公表されなければ創作後50年)
映画の著作物:公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ創作後70年)
仕事で作ったものは誰のもの?
職務上制作した著作物に関しては、以下の条件を満たす場合には、個人ではなくその人が属する会社等の法人が著作者となります。また、委託して制作されたものに関しては、委託者に著作権を譲渡するといった取り決めがない限り、制作者またはその人の所属する会社が著作者となります。
1.法人その他の使用者の発意によって創作されたもの
2.従業員の創作であること(外部への委託等は除かれる)
3.職務上創作されたもの
4.会社等の名義で公表されたもの
5.契約や職務規定上、職員を著作者とする定めがないこと
著作権をはじめとする知的財産権の基礎知識、いかがでしたか?
次回は写真の被写体の権利についての解説をお届けします!