新たにデザインの現場に足を踏み入れた方に贈る、クリエイティブに必要な10の基礎知識。この連載では、国内最大級のストックフォトサイトを運営するアマナイメージズが、広告やWEBの制作に欠かせない基礎知識や知っておくと役に立つ仕事のヒントをお伝えします。
制作物をつくる際、著作権については意識しているけれど、意外に見落としがちなのが「被写体の権利」。今回は、撮影やストックフォト使用の際に知っておくべき被写体の権利を解説します。
写真に潜むさまざまな権利
1枚の写真の中には、さまざまな権利が含まれています。撮影やストックフォトを使用際に気をつけるべきポイントとは何でしょうか?
■写真そのものの著作権
無断で使用、複製(トレース、イラスト化も含む)、模倣することはできない
■建築の著作権
単に背景に写っているだけであれば問題ないが、私有地や撮影禁止区域の敷地内で無断撮影すると施設管理権の侵害にあたる可能性も
■肖像権
被写体に無断で使用できないが、予めモデルリリースが取得されているストックフォトなら許諾は不要
■商標権
商標は写っているたけでは問題ないが、商品やサービスの出所を混同・誤認させるような使い方には注意が必要
POINT! 建築の写真は要注意
建築の写真使用は法律上問題がなくてもクレームなどのトラブルに発展することがあります。有名な建築や商業施設、寺社仏閣の写真を使用する際は、事前に管理者の許諾を取っておくと安心です。
POINT! 自分の写真が使われたら・・・と考えて
モデルリリースが取得されていても、犯罪、政治、宗教、疾病など、自分の写真が使われたら不快かも、と感じるような用途では事前に提供元に使用の可否を確認した方がよいでしょう。原子力関連や婚活、アンチエイジングなども注意が必要です。
■映画の著作権
映画スチールの場合、映画の著作権が問題となる。映画の著作権は公開後70年間保護される
■パブリシティ権
顧客吸引力のある著名人の氏名や肖像には、それらを無断で商業的・広告的に使用されない権利がある
POINT! 映画の権利は誰のもの?
映画はプロデューサーや監督、撮影や美術の監督など“全体的形成に創作的に寄与したもの”が著作者となりますが、財産権は自動的に映画会社に移り、著作者人格権のみが監督等著作者に残ります。そのため使用許諾は映画会社から得る必要があります。
POINT! 著名人の写真を使いたい!
著名人の肖像は報道目的の場合、原則として使用許諾は不要ですが、広告などでの使用には許諾が必要となります。日本ではパブリシティ権に関する明文法がなく保護期間も明記されていませんが、本人はもちろん、故人であっても遺族が存命の場合は許諾を得た方が無難です。
被写体の権利についての注意点、いかがでしたか?
次回はストックフォトを安全に使うためのFAQをお届けします!