徐々にマーケッターの間でも認知度が高まってきている「Web接客」。最近は様々なツールが出てきていますが、この記事では、そもそも「Web接客」とは何かについて、国内で最大の導入実績を誇る「KARTE(カルテ)」というツールを例にあげながら、解説していきます。
Web接客とは
リアル店舗ではあたり前のように行われている相手に合わせた接客。それをウェブサイトでも実現しようとするものがWeb接客です。
注目を集める理由としては、集客に注力していたフェーズから、サイト訪問後のコンバージョンを高めるフェーズへと意識が移り変わっている背景があります。
これまではSEOや広告による集客に専念していれば十分な面がありましたが、競争の激化やサービスの乱立により、訪問した顧客に対していかに適切な提案ができるかという面が重要になってきました。
そこで、これまではどの訪問者が来ても画一的情報提示となっていたところ、訪問者に合わせた情報提示を行えるようなツールが求められており、そこにWeb接客が当てはまったといえます。
全体最適化ではなく、個別最適化を実現するためにWeb接客の導入が進んでいるのです。
KARTEとは
Web接客といえばチャットをイメージする人が多いと思いますが、いま注目されているのは、訪問者に合わせた提案を自動で行うことができるサービスです。
Web接客サービスで最大の導入実績を誇る「KARTE」は、ウェブサイトに数行のコードを埋め込むだけで、来訪者の特徴や行動をリアルタイムに解析し可視化することができ、個々の来訪者にあわせたメッセージ配信などを可能にするサービスです。これまでにないリアルタイム解析を実現したことにより、利用者がサイトから去ってしまう前に、必要な情報を適切なタイミングで自動的に提案することができます。
2015年3月に正式にサービスを開始してから1,300社以上に導入されています。
「KARTE」の特徴として「個客の可視化」を徹底して追求している点があげられます。来訪者に対して、必要な提案を適切なタイミングで届けるうえで欠かせない、個人単位のあらゆる情報を蓄積し、接客に自由に活用できるようにしています。
収集する情報として大きくは、会員情報・アクセス情報・購買履歴があります。これらのデータから特徴をタグ付けし、接客に利用できるようにします。
表示する接客メッセージはサイトオーナーが自由に設定することができます。設定した条件に当てはまった訪問者に自動で接客メッセージを表示するため、多くの訪問者に同時に対応することが可能です。また、A/Bテストやコンバージョン率も計測できるため、接客メッセージの評価を行うこともできます。
サイト外でも接客可能に
サービス開始から1周年のタイミングとなる2016年3月には「KARTE TALK」を発表し、サイト内だけでなくサイト外にも接客の範囲を拡大させました。LINE・SMS・メール・Facebook通知・ブラウザ通知・スマホ通知などのアクションを可能としたほか、サイト内でのチャットにも対応しています。
これにより、離脱後のフォローなどサイト外での接客はもちろん、様々なコミュニケーションをまたがる顧客とのやり取りを一元管理することも可能となりました。
このほかにも、リアル店舗のデータとの連携、位置情報やオーディエンスデータを活用した接客など、様々なデータを「KARTE」で一元管理し、様々なデータを接客に活用できるよう日々連携が進められています。
「Web接客」はECサイトだけのもの?
よく、「Web接客」=ECサイトが使うもの、というイメージがありますが、決して、そのようなことはありません。使い方次第で、さまざまな可能性があります。
今回は、「KARTE」を提供する、株式会社プレイドの倉橋社長にお話をお聞きしました。
(倉橋社長へのインタビュー記事もご覧ください)
──「Web接客」というと、どうしてもECサイトで使うイメージが強いと思いますが、ECに限らず使えるものなのでしょうか?
僕らもそういう打ち出し方をしてきたので、そのように思われても仕方ない部分がありますね。実際、ECサイトは導入いただいている絶対的な企業数が多いので、社数の比率でいうと大部分を占めてはいますが、実は、銀行やネット証券など金融系の企業様にも多く使っていただいています。また、人材業界でも、大手がかなりの割合で使っていただいていますし、不動産業界でも導入実績はあります。
──そうなんですね!それでは、ECサイト以外の企業も含めてですが、「KARTE」を使う時に、どこから取りかかるのがおすすめでしょうか?
KARTEって、いろんな表現が出来ると思うのですが、分かりやすく言うと「インターネット上で、これまで見えなかった『人』が見えるようになる」と言えます。そして「見える」というのも、昨日どうだったかではなく、“今”どうなのか、という状態まで「見える」のがKARTEだと思うのです。
例えば、Webサイトを作って、何か商品があった場合に、その商品を伝えるために、特集Aを作ったり、Bを作ったりしますよね。そういったコンテンツを様々な企業が作っているわけなのですが、多くのWebサイトは、それを並べることしかしてないのですね。しかし、今リアルタイムにサイトに来ている方がどういう状態なのか「見える」、すなわちデータとして全て捕捉出来ている状態であれば、「誰がいるから、このコンテンツを提供した方がいい」とか、「こんな心境の人がいるから、このコンテンツを提供した方がいい」、という判断が出来るようになります。
ですので、最初の取りかかりとしては、「過去に作ったコンテンツは誰がどんな時に受け取れたらうれしいだろうか」と考えて、その条件に当てはまる人に接客として表示する、というのが導入しやすいと思います。新しい特集をつくらなくてもいいですし、新しくコストをかけずに、既にあるコンテンツという資産のパフォーマンスを一気に上げることが出来るようになりますので、始めやすいのではないでしょうか。
──なるほど。そうすると、昨今、コンテンツマーケティングを実践する企業も増えていますが、そういった企業でも使えそうですね。
そうですね。まさにコンテンツマーケティングの“コンテンツ”って、「どういう方に、どういう情報を伝えたいから、そのコンテンツを作っている」という文脈があるわけなので、それを、いかにお客様とマッチングし、届けられるかという点では、猛烈にパフォーマンスが上がるのではないでしょうか。
また、逆に、顧客のサイト内での行動データを見ることによって、どういうコンテンツを作ったらいいかを検討する材料として使うことも出来ますし、さらに、この人はどのコンテンツを何回見たか、とか、どこまで見たか、といったデータも取得出来ますから、PDCAを回していく全フローにおいて、活用していただけるのではないかと思います。
さらには、広告商品と組み合わせたら、非常に面白いと思います。最近は、記事広告やネイティブ広告などが増えていると思いますが、何PVあったかは見えるのですが、どういう人が、どういう消費の仕方をしたかはデータとしては取れません。しかしKARTEを導入しておくことで、広告経由での顧客の行動が捕捉出来るようになりますので、本来知りたかった広告効果のフィードバックが出来るようになりますし、そこから、より正確なPDCAが回すことが出来るようになります。このように、使い方次第で、さまざまな価値を実感していただけるのが、KARTEだと思います。
最後に
いかがでしょうか?「Web接客」ツールは、活用次第では、業種・商品を問わずに活用することが出来るツールです。
これまでのサイトでは、リアルでの接客のような、一人ひとりの顧客に合った“おもてなし”は出来ませんでしたが、このようなツールの登場で、一人ひとりにパーソナライズした対応が可能となっています。