ライターHOSHI(以下:星)が、アマナイメージズ動画クリエイティブチームの二人に動画撮影のノウハウを教わる企画。

平山清道(ひらやまきよみち)先生
日本テレビグループの映像制作会社に5年間勤務後、フリーのディレクターに。テレビ番組やプロモーション映像、CMなどを幅広く手がける。2014年12月アマナイメージズに入社後、動画だけでなく静止画コンテンツを調達する部署のマネージャーとして、新規フォトグラファー、クリエイターの開拓~仕入までを統括している。お子さんが生まれるまでは年間100本(今は50本くらい)観ていたというほど映画好きである。(以下:平山)

西尾将旭(にしおまさあき)
新卒でアマナイメージズに入社し、現在2年目の名古屋っ子。平山先生の一番弟子で動画クリエイティブチームの一員。大学では映像を専攻し、自主映画も制作していた。プライベートではバンドも組んでおり、憧れのベーシストは東京事変の亀田誠治。(以下:西尾)

第2回は「お洒落な雰囲気の映像を撮るためのポイント」について教えていただきます。

雰囲気のある動画撮影のポイントは?

平山:前回は「動画と静止画の違い」について、覚えていただけたと思います。動画は事前準備がとても重要であるというお話でしたね。それらを踏まえて、今回は雰囲気のある映像を撮るためのコツについてご紹介します。

星:はい、先生よろしくお願いします!

平山:まず、最初にどんなカメラを使うかということですが、雰囲気のある動画を撮影する時におすすめしているのはデジタル一眼レフです。普通のビデオカメラで撮影することも可能ですが、それだと少し味気ないものになってしまうので。

星:撮影するカメラで仕上がりの雰囲気が変わってくるんですね。

平山:変わってきます。では、一眼レフカメラを使った時に意識すべきことについて考えてみましょう。

星:難しい…。「ライティング」ですか?

平山:うんうん、ライティングも必要です。でもなかなか1人の撮影で照明を設置するのは大変なんですよね。他に何かないかな? 西尾君。

西尾:はい、「カメラワーク」です。

平山:カメラワークは必要ですよね。しかしちょっと、西尾君は段取り忘れちゃいましたね…(笑)。

西尾:ごめんなさい!(笑)

平山:正解は、背景のぼけ味です。写真もそうですが、被写体と背景のバランスというのが非常に大きなポイントなんです。背景にぼけ味が出ると、雰囲気のある映像に近づけることができるんですね。

f値を調整して好みのぼけ味を出そう!

星:確かに、お洒落な写真って背景がやわらかくぼけていることが多いですね。

平山:では、ぼけ味を出すにはどうすればいいでしょう。これは分かるね、西尾君どうぞ。

西尾:「カメラの設定でf値を操作すること」

星:f値……?

平山:その通りです。あまり耳馴染みのない言葉ですよね。デジタル一眼レフは、f値というものを設定することができます。f値とは、簡単に言うとレンズが光を取り込む穴の大きさの値なんですよね。f値が小さいとピントが合う範囲が狭くなります。

星:ピントが合う範囲が狭いとどうなるんですか?

平山:例えば、何か物を置いて撮ろうとする時に、f値を小さく設定するとその物にしかフォーカスが当たらないので、それ以外の背景はボケてくるわけです。人物にピントを合わせようとした時、人物と距離の違うものはぼけるようになります

星:へぇー! 雰囲気がぐっと出そうですね。

平山:ただ、これにも注意が必要なんですよ。f値を小さくすればするほどぼけ感は強くなるのですが、人物を撮りたい場合、人ってピタっと止まっているわけではないですよね。話す時でも動きがあるので、事前に動く範囲を見ておかなければいけません。

星:撮る前に被写体の動きを確認しておかないと、被写体までぼけてしまう可能性がある…?

平山:その通り。だから「こういうシーンを撮影する時は、このf値がベストだな」っていうのを日頃から見ておくといいと思います。例えば人が会話しているような一般的なシーンだと、だいたい2.8前後に設定しておけば、メインの人物はぼけずに撮ることができますね。

被写体に合わせてf値を変えよう!

平山:ただレンズによって変わってくるので、ご自身の持っているカメラのレンズで実際にテストしてみて、一番いい値を見つけておくことが大切ですね。プロの人達はそれぞれ自分なりの設定があったりします。

星:自分の感覚で、いいと思う値を探す。それも味になるんですね。

平山:ある程度は基準があるんですが、先ほど言ったように好みもあります。背景と被写体のシルエットが同化するようにしたい人もいるし、被写体のディテールはしっかり出して、奥だけぼかしたい人もいます。

用途によっても変える必要がありますね。例えば、情報番組はあまりぼかさない方がいい。「話題のスポットにやってきました!」というニュースを伝えるような場合だと、背景までしっかりとフォーカスを当てた方がいいので。

星:状況を鮮明に知りたい場合は、ぼけていても違和感がありますね。

平山:そうなんです。ただ、クリエイティブな映像を撮るには、背景をぼかした方が良い雰囲気が出せます。用途によってf値を調整するというのは、ぜひチャレンジしてもらいたいなと!

撮影の基本はフィックス(固定)

平山:雰囲気のある動画を撮るにはぼけ味が大事、ということは分かっていただけましたね。では、続いて押さえておくべき動画撮影の基本をご紹介します。

先ほど西尾くんが「カメラワーク」と言っていましたが、基本はしっかり固定して撮ること。安定した映像を撮るには三脚を使いましょう。

星:三脚を。

平山:三脚もメーカーが様々で、値段もピンきりですが、カメラをのせてきちんと安定するものをひとつ用意しておくと、とても撮影しやすいです。静止画だと、シャッターを切るのは一瞬なので安定した画を撮りやすいですが、動画は手持ちで撮影するとブレが出てしまうんですよね。

星:確かに! 撮ってる時はあまり気付かないけど、あとで動画を見返すと揺れが気になることが多いですね…。

水平、垂直は撮る前に確認しよう

平山:映像がフラフラ動いていると、落ち着かない画になってしまって、見る方に不快なイメージを与えてしまいます。クオリティーも低く感じるので、まずは安定した映像を撮ることが基本です。三脚にのせた段階で、水平や垂直もしっかりとチェックしましょう。

星:水平、垂直は後から編集でなんとかならないんですか?

平山:もちろん、編集で調整することも多少はできます。ただ以前言った通り、編集でどうにかしようとすると、それだけ映像が余分にトリミングされるということになるので…

星:その分、映像が荒くなってしまう。

平山:画も荒くなるし、狙っていたサイズと違ってきてしまうんですよね。水平・垂直がとれていない映像は観ている方が気持ち悪いですよね。ノイズを減らして、快適に観てもらえるようにするのは撮る側の役割なんです。

“5秒カウント”で余韻のある映像に

平山:2つ目のポイントは、「良い画が撮れた!」と思っても、そこから最低5秒はカウントして撮影を止めることです。

あとから編集しようとすると意外と短かったり、アクションが終わった後にすぐ映像が終わってしまったりすることがあります。少し長めに撮るように意識すると、編集がスムーズになるんです。

星:良い画が撮れると、満足して思わず切っちゃいそう…。

平山:この辺はですね、西尾君もよくミスります。

西尾:えへへ(笑)

平山:せっかくいい映像を撮っているのに、余韻がないとなんだか味気ないものになってしまう。表情を撮るにしても、人って少しずつ表情が変わっていくので、長さが必要なんです。

星:余韻かあ、そこは上級者テクニックかもしれないですね。

平山:これはプロのカメラマンレベルでもうっかり失敗しちゃうことがあるんですよね。撮るものが多ければ多いほど慌ててしまう。勢いでハイOK! って切っちゃうんですけど、編集の時に苦労することになります…。

星:後からどうしよう、ってなっている自分が目に浮かぶので気をつけます。

基本の4サイズを押さえよう!

平山:3つ目のポイントは、様々なサイズを撮ること。第1回で、動画には5W1Hが重要だと言いましたね?

星:覚えてます。「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように」これを映像に収めるということですよね。

平山:そうです。例えば、今の星さんを撮るとしたら、会議室にいることがわかる引きの画、パソコンを含めたサイズ、そして表情、場合によってはメモをとる手元。これらを撮影して編集で組み合わせれば、5W1Hの説明もできて、飽きのこない映像を作ることができます。そこでポイントになるのが、基本の4サイズです。

フルショット,バストアップ,アップショット,ロングショット

フルショット,バストアップ,アップショット,ロングショットを抑えれば撮影時も安心!

平山:この4つを覚えていただければ、組み合わせ方で意図的に雰囲気を作り出すことができます。例えば、海辺で寂しそうな表情をした女性が歩いているとしますよね。そういう時は、まず最初にアップショットで顔を映して、そのあとロングショットに繋いであげると、すごく寂しい感じがでるんです。

サイズによって、より自然に心情を表せるので、ある程度繋ぎ方の法則を知っておくといいかもしれません。

星:そんなこともできちゃうんですか。サイズを変えるのは、見る人を飽きさせないためだけじゃなかったんですね。

平山:今言ったのとは少し違うんですが、お笑い番組で爆笑が起こる時に映像をぐっと引いているのを見たことありません?

星:よくありますね。みんなが笑っているのが分かる感じ。

平山:そうそう。誰かのフリがあって、そのあとロングショットで他の出演者たちの笑顔に繋げると、より笑いが起こっている感じがするんですね。こういった色んなテクニックがあるんですが、いずれにしても色々なサイズを狙って撮っておかないと、その編集テクニックも活かせないわけです。

星:そうですね、元々の素材がなければその見せ方もできない。

平山:ちょっとした手間なんですけど、サイズはたくさん撮っておいた方がいいです。最低でも、同じシーンでサイズを変えたものを2つは撮る。できれば3つ撮ると幅も広がってきます。

星:「f値、水平と垂直の確認、5秒カウント、基本の4サイズ」これだけでもうずいぶん素人感がなくなりそうですね!

平山:次は演出のポイントについてお話するので、これらをしっかり頭に入れておいてください。

 

次回へつづく