PORTFOLIOの読者の皆さんは、フォトグラファーの方やカメラもお好きな方が多いと思いますが、そんなカメラ好きの最近の話題と言えば、やっぱりフルサイズミラーレス戦争(?)ではないでしょうか。これまでソニーが長らく市場を支配していた訳ですが、今年に入りNikonがフルサイズミラーレスへの参入を発表、続いてCanonも満を持して発表。これで三つ巴の戦いか!?と思われた中、Panasonicまでがフルサイズミラーレスへの参入を表明。四つ巴の戦いの様相を呈しています。

そんな中、PORTFOLIO編集部では、ソニーさんよりフルサイズミラーレスとして評価の高いα7IIIとGマスターレンズ2本をお借りしましたので、実際に撮影してレビューをさせていただきました。

お借りした機材はこちら。

なぜこのセレクトだったかと言うと、α7IIIについては、もはや誰もが評価をするフルサイズミラーレスの定番にして、まず間違いのない機材と言えると思います。ですので、テストするにはα7IIIでしょう、ということに。

そしてレンズは、ソニー純正レンズは、ほぼ一通り選べたのですが、せっかくなので、その中から最高峰のGマスターレンズを、ということと、ポートレートとストリートスナップの両方をテストしたいということで、この2本をセレクトしました。特に、SEL85F14GMは是非試したかった1本。これでポートレート撮ったら絶対キレイに取れるんだろうなぁ~、という期待せざるを得ないレンズです。

ということで、今回は、10月の三連休、台風一過の晴れた日に横浜を舞台に、ポートレート、ストリートスナップ、それから夜景の撮影をテストしてきましたのでレポートします。

なお、それぞれ、詳細なスペックについては、いろいろなメディアでも紹介されていますので、本記事では省略させていただきます。

Situation 1. ポートレート

せっかくこれだけの機材をお借りするのだから、そして85mm、F1.4というポートレート向けのレンズをお借りしたのだからということで、急遽モデルさんに来ていただいて撮影を敢行。場所も雰囲気のいい横浜・元町にて行いました。ちなみに、この日、冒頭に書いたように台風一過で、“平成最後の猛暑日”ではないかというくらいの10月なのに30度超えの、結構過酷な天候でした。そのためかなり直射日光がきつい中での撮影となりました。

まずはFE 85mm F1.4 GMでポートレート撮影

こちらはほぼ撮って出し(RAW撮影のため)ですが、背景からきれいに被写体が浮き出ていて、かつ背景のボケもきれい。日差しが強いので背景の草?に反射した光が玉ボケになってキラキラしています。一方人物は髪の毛一本一本まできれいに描写されています。

Sony α7III / Sony FE 85mm F1.4 GM SEL85F14GM

 

こちらもくっきりとした人物の描写から背景になっている神社のボケ感が非常にきれい。こちらも神社の手すりや階段などに反射する光がきれいな玉ボケになって、キラキラ。そして、AFでばっちり目にピントが合っています。こちらは編集をしているのですが、この空気感・臨場感は元のデータの時点で表現されていたものです。軽く乱れた髪の描写がその場にいるような臨場感を表現しています。ちなみにポートレート的に必要ではないと思いますが、右側の鳥居の質感の描写もすごい。ほんとに空間を写真として閉じ込める、という感じの写りになっています。

Sony α7III / Sony FE 85mm F1.4 GM SEL85F14GM

 

つづいてFE 16-35mm F2.8 GMでスナップ風に

こちらは街中を歩きながら撮影した1枚。こちらも人物と背景がきれいに表現されています。このレンズもさすがです。なびく紙や肩に映る髪の影など細かいところがきれいに表現されています。

Sony α7III / Sony FE 16-35mm F2.8 GM

そして、もう一つのポイントは、片手持ちで歩きながらの撮影だということ。α7IIIと言えばやはりミラーレスならではの軽さ。片手でも難なく撮影が可能です。そして、この写真、目にバッチリピントが合ってますが、「瞳AF」を使っていません。実は、今回のレビューで一番楽しみにしていたのが「瞳AF」だったんですが、何分はじめて使う機材。使い方を間違っていて瞳AFが使えていなかった…、というのが実際のところ。それでもこのピント感。ほんと、α7III、素晴らしいとしか言えません。

次の写真は、ほぼ撮って出し。元々、背景奥の建物が強い光のせいで白くなっていたのですが、少しだけハイライト・白レベルを調整したところ、しっかり情報が残っていました。石畳や衣装の裾の方にあるレース部分もきれいに描写されています。

Sony α7III / Sony FE 16-35mm F2.8 GM

 

ポートレートまとめ

いずれのレンズも、ほんとうにいいレンズでした。特にFE 85mm F1.4 GMは、まさにポートレートに最適。誰でもいい感じのポートレートが撮れてしまいます。本当は夕方辺りも試してみたかったんですが、日中でも十分その実力を検証出来ました。個人的に、2枚目の空気感の表現は、かなり好みの写りでした。この1枚だけでも、このレンズ買いたい!と思ってしまいます。ちなみに価格は20万円を切るくらいです。高いと見るか、安いと見るか。私の拙い写真では、この程度しか写らないのかと高く感じてしまわれるかも知れませんが、ポートレートに自信のある方や、ポートレート中心に撮影されている方は、この金額を出しても十分元が取れると思います。

model : @7ichigo_oO

Situation 2. ストリートスナップ

次はストリートスナップです。場所は中華街となります。

スナップに持って来いのFE 16-35mm F2.8 GMから

まずはこちら。RAW撮影ですが、Lightroomで現像の際には全く調整していない状態。関帝廟のカラフルな龍の装飾や、瓦とその影の描写、さらに煙突から登る煙など、精細に再現されています。開放で撮影したので周辺減光も出ていますが、それもちょうどいい味になっています。

Sony α7III / Sony FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM

 

こちらは逆に編集をした一枚。路地の少し暗いところでの撮影で、撮影データは、実はほぼ真っ黒。ですが調整を加えるとしっかりと色情報が出てきました。開放で撮影し、手前の提灯にピントを合わせて奥をぼかしていますが、ストリートスナップとしてはこのくらいのボケ感がちょうどいいですね。ちなみに奥の人混みは刀削麺のお店ですが、ここ、美味しいです。

Sony α7III / Sony FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM

 

ストリートスナップで85mm単焦点を使ってみる

先程ポートレートでその実力を発揮してくれたSEL85F14GMですが、ストリートではどうでしょうか?流石に中華街のような密集したところでは距離がきつかったので、隣の山下公園から赤レンガの方へ流れながら撮影してみることに。

こちらは大さん橋。ちょうど、超大型の客船が来ていて、近くではお祭り?も開催されていて、いつもより人も車も多い状況を撮影。一人ひとりの人影もきちんと捉えていますし、客船もバッチリ写っています。純粋に望遠レンズとして使ってもこの性能の高さ。

Sony α7III / Sony FE 85mm F1.4 GM SEL85F14GM

 

こちらも少し離れたところから、交差点を行き交う人たちを捉えた一枚。この日の暑さが、長く伸びた影を通して伝わるでしょうか。このくらいの距離感を空間として捉えるのが、個人的には好きな使い方でした。この表現、なんとなく分かりますか…?

Sony α7III / Sony FE 85mm F1.4 GM SEL85F14GM

 

ストリートスナップまとめ

今回のシステムは、ストリートスナップでも存分に実力を発揮してくれました。特にFE 16-35mm F2.8 GMはスナップに最適。それも中華街ような街中を撮るにはちょうどいい距離感でした。そして、何よりα7IIIのAFの性能がここでも発揮されました。マニュアルで撮影していますが、日向と日陰とでは流石に設定を変更しましたが、そこで変えてしまえば後は歩きながらパシャパシャと撮影。動きながらでもしっかりAFが効いて、バッチリピントをいい感じに合わせてくれます。それでいて、この細部までを描き出す描写力が得られるという素晴らしい組み合わせ。一方でFE 85mm F1.4 GMも、これはこれで特徴をつかめれば、いいスナップが撮れるレンズ。使いこなしていくと、あまり見ないオリジナルな構図が作れると思います。

Situation 3. 夜景

横浜と言えば、やはり夜景。α7IIIは高感度にも強いと聞いているので、試してみたいと思います。

夜景もFE 16-35mm F2.8 GMから

まずは横浜の夜景と言えばここ、よこはまコスモワールドの大観覧車を真下から撮影。ホント綺麗に撮れました。こちらは撮って出しで全く調整していません。ISOは10000まで上げていますが、全くノイズが出ていないですし、このカラフルなライトアップもきれいに撮影出来ています。

Sony α7III / Sony FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM

 

こちらはご覧の通り編集していますが、メリーゴーランドの装飾や馬のペイントなど細部が高精細に表現出来ています。こちらもISOは10000まで上げて撮影しています。ほんとにα7IIIは夜の撮影にも存分に力を発揮してくれますね。

Sony α7III / Sony FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM

 

せっかくなので、もう一枚。こちらも撮って出しです。水面に映ったライトアップの反射もきれいに写し撮っています。ISOは6400です。夜景の撮影は、この組み合わせであれば、どんな撮り方にも対応出来るのではないでしょうか。

Sony α7III / Sony FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM

 

夜景でのSEL85F14GMは?

ストリートスナップ同様、望遠となるので少し撮りにくいことは確かですが、使ってみました。

こんな構図であれば望遠が活かせるかな、と撮影。こちらはF1.4の開放で撮影しているのでISOは2500に設定。ノイズもなくきれいに撮影されています。

Sony α7III / Sony FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM

 

こちらは、どこまで行けるかな、ということで、ISOを16000まで上げて撮影したもの。少し暗かったので若干明るくしていますが、正直ノイズが出ています。流石にここまで上げるとノイズが載ってくるんですね。とはいえ、もしかすると他の設定、例えば三脚立ててシャッタースピードを落とせばISOを下げれるのでノイズなく撮れるかも知れませんが、一応、夜スナップということで手持ちではこの辺りがしきい値かも知れません。

Sony α7III / Sony FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM

 

夜景まとめ

基本的に夜景はα7IIIが得意な領域の一つだと思うのですが、このレンズをセットにすることで、よりその能力を発揮してくれたのではないかと思います。撮って出しでも十分きれいですが、編集を加えてもしっかりと細部まで情報が残っているので編集しやすいデータと言えるかも知れません。

レビューを終えて:とにかく楽しい撮影が出来るシステム

今回ソニーさんからお借りした機材で、いろいろと試してみたのですが、その性能を十分に実感することが出来ました。ただ単にシャッターを切るだけで十分いい写真が撮れてしまうのですが、それぞれのレンズの特性をうまく捉えて使い込んでいけば、さらにどんどんいい写真が撮れるようになると思います。すごく遠くまで行けそうな気がします。そういう意味で、コストはかかりますが、写真を一気にうまくしてくれるシステムではないかと思いました。

そして、何より撮影していて楽しかったです。ミラーレスならではの軽さと共に、手ぶれ補正やAFの性能の高さで、特にスナップはホントに楽しく撮影出来ます。そして、今回は残念ながら使いこなせなかった「瞳AF」を使えば、さらにその実力を発揮してくれるはずなので、もっと撮影が楽しくなると思います。ポートレートにおいても、レンズは少々大きいものの、ボディが小さいので、モデルさんにも威圧感を与えず、歩きながら会話しながらのスナップ的な撮影では自然な表情を引き出せるでしょう。それでいて、SEL85F14GMを使えば、しっかりしたポートレート撮影が出来るという万能感。ほんとにいい機材だなぁと、心から思いました。

短い期間でしたが、楽しいレビューとなりました。ソニーさん、ありがとうございました。

最後に、美味しそうに撮れた中華街の肉まんの写真でお別れしましょう(撮って出し)。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Sony α7III / Sony FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM