かれこれ10年近く前だろうか、彼女の写真を初めて見たとき「色」に引き込まれた。最初は何故だかわからなかったが、作り物じゃないカラフルさに惹かれたのだろうと思う。決して定番の『フード』カラーばかりで構成されているわけでははないが、違和感なく目に入り込んでくるのは、自分も自然界の一員だからだな、と再認識。食べ物の色には理由があるはず、その理由を知りたくて、ヴィーガン(完全菜食主義)の料理研究家&写真家、マルタ・ジャコーネ(Marta Giaccone)に話を聞いてみた。
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文 :伊藤 章彦
(アマナイメージズ『Portfolio by amanaimages』編集チーム Editor at Large)
写真:Marta Giaccone / amanaimages
1988年、イタリア・ミラノ生まれのマルタ・ジャコーネは、ミラノ大学で英文学・ラテンアメリカ文学の学士号を取得。その後イギリスに渡り、ニューポートにあるサウス・ウェールス大学でフォトジャーナリズムを学んだ彼女は、その修士号を取得した。
2008年と2011年の2回、ニューヨークでそれぞれ6カ月間ずつ写真家集団 “MAGNUM PHOTOS(マグナム・フォト)”にインターンとして在籍し、写真家Bruce Davidson (ブルース・デイビッドソン)と Mary Ellen Mark(メアリー・エレン・マーク)のプロジェクトに参加している。
2012年頃だったろうか、まだ今ほどオンライン通話は発達しておらず、モニターも鮮明とまではいなかったが、画面越しのマルタは明るくにこやかな印象。そして何より、本質を見つめるような目はフォトグラファーらしいな、と感じたのをよく覚えている。子供のころから肉類は食べなかったマルタは、25歳頃になると乳製品や卵も口にしなくなったという。
もっとも、魚介類は今でもたまに口にするらしい。フルーツ、野菜、シリアル、ナッツ類や豆類だけを使って料理をするのが大好きで、少ない種類の限られた材料だけを使って、創作の一皿をたくさん作ってみた。気付いたのは、限られた材料からは考えられないくらい、いろいろな料理を作れるんだ、ということ。作った彼女自身も驚いたくらいだった。
いろいろと加工処理を施されたものではなく、より天然に近いものを好むMarta。普段の料理やスイーツ作りにも、小麦は使わず、グルテンフリーの小麦粉や、スペルト小麦、コーラサン小麦、キヌアなどの古代小麦を使う。
またオーブンで焼くお菓子やケーキ作りにも、精製された砂糖は使わないそうで、バナナの自然な甘みと粘り気が欠かせない材料となっている。さらに甘みが必要な時には、未精製の砂糖や、はちみつ、メープルシロップを使い、体にやさしいこと、栄養バランスに優れていることをいつも大切にしている。
動物性たんぱく質の食材を使わなくても、本当にいろいろ料理を作ることができると大抵の人が気づいていない中で、よく「卵やバターを使わないでどうやってケーキを作れるっていうの? 到底考えられない!」と言われるそう。マルタは、実際にとてもフレッシュで美味しいケーキを作ることができることを、もっともっと知ってもらいたいと考えている。
いろいろなベジタリアンメニューを作る中で、今まであまり食べることのなかった野菜の美味しさや使い方をたくさん知ることもできる。最初は「奇妙な料理」と思っていた周り人たちも、2~3度料理を味わってもらった後には、いつしかベジタリアンメニューのファンに変わってしまう。マルタの料理やスイーツには、そんな力があるのだ。
2020年頃からエストニアに活動の拠点を移したマルタ。ポートレート撮影プロジェクトでは人の生きる姿をカメラに収め、フードフォトグラファーとしてはイタリアのメディアからの撮影案件も受けている。マルタが今興味を持っているのは日本。直近のプロジェクトはなんと『四国八十八か所霊場めぐり』の撮影。残念ながら四国でのタイトな撮影スケジュールで会うことはできなかったが、いつか日本文化を一緒につたえることができれば、と思う。フォトグラファーとして経験を積んだマルタの目を見るのがとても楽しみだ。
マルタ・ジャコーネ(Marta Giaccone)のベジタリアン/ヴィーガンフード写真は、報道、広告、出版、商品化などにお使いいただけます。レシピをご希望の場合は、別途取り寄せのご相談もうけたまわっております。使用方法、検索、レシピご利用料金などはお気軽にアマナイメージズカスタマーサポートまでお問い合わせください。
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