長野県上田市を走る「上田電鉄 別所線」。2019年の台風で、そのシンボル的存在の赤い鉄橋が崩落してしまいます。
2021年に全線復旧するまでの様子を、地元在住の絶景写真家・岡田光司さんが撮影。そこに保育士の経験をもつ夫人の康子さんが物語を付け、1冊の絵本『赤い鉄橋を渡っていくよ』(文研出版)ができました。
この夏、株式会社トーハンの「先生のすすめる夏休みすいせん図書」や、千葉県と福井県の夏休み課題図書、長野県の推奨図書にも選ばれています。
アマナイメージズのストック素材でも風景写真や動画が人気の岡田さんご夫妻に、絵本にした経緯や思いを語って頂きました。

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文 :河西美保(アマナイメージズ仕入部)
写真:岡田光司 / amanaimages

Profile

岡田光司(おかだ・みつし)

風景写真家。自然豊かな信州で子育てしたいと考え、30歳の時に家族で千葉県から長野県上田市に移住。企業の広告、カレンダー、日本郵便の切手、観光ポスター、写真雑誌、テレビ番組、CMなどに写真や動画を提供。国内外の大自然の姿を撮り続けている。出版物に写真絵本『赤い鉄橋を渡っていくよ』(文研出版)、写真集『夢の記憶』『水への手紙』『風の中のI love you』(清流出版)、カレンダー『小さな幸せ』(山と溪谷社・2013〜19年)、カレンダー『PURE』(新日本カレンダー・2016〜2024年)など多数。写真展を銀座NAGANO ・美ヶ原高原美術館・上田市武石ともしび博物館・小諸高原美術館・青木村郷土美術館など多数の地で開催。岡田フォトオフィス代表。

岡田康子(おかだ・やすこ)

短大の保育科を卒業後、千葉県内の幼稚園で年少〜年長児を担任。劇の発表会ではクラスの子どもたちと一緒に物語を創作。音楽を学んできた経験を活かし作詞作曲も行い、クラスのオリジナルオペレッタを毎年発表。出産を機に退職し、岡田光司写真展の企画や、地元のアーティストと連携して音楽と写真のコラボコンサートの開催などを企画。元保育者としての経験を活かした写真の紹介や、風景写真に合わせた詩の朗読なども行なっている。『赤い鉄橋を渡って行くよ』が初の著書となる。

愛する地元の被災に、風景写真家としてできること

国内外の絶景を撮影し、鮮やかな色彩と大胆な構図が人気の風景写真家、岡田光司さん。
アマナイメージズでは独占販売で作品を取り扱っており、カレンダーや雑誌の表紙、切手など数多くの媒体で使用されています。

八重桜の桜並木(長野県)

セブンティアイランド(パラオ)

止滝とモミジ(秋田県)

ハートのオーロラ(ノルウェー)

光司さんはロケで全国各地を飛び回るかたわら、ライフワークとして地元である長野県上田市の風景を撮影しており、とりわけ、別所線の四季折々のシーンを撮りためてきました。
千曲川(ちくまがわ)にかかる赤い鉄橋「千曲川橋梁(きょうりょう)」の風景は、地元の人々や鉄道ファンに愛され、別所線のシンボル的な存在。光司さんも数多くの写真を残しています。

赤い鉄橋を走る別所線の自然と友だち号と菜の花咲く千曲川(長野県)

自然と友だち2号と水鏡の田園と独鈷山の夕景

舞田のコスモスと自然と友だち2号

新雪の舞田の田園と別所線の自然と友だち号と独鈷山

そんな中、2019年10月、台風19号により千曲川橋梁が崩落してしまいます。
光司さん「台風被害の直後の親子イベントで、別所線の募金活動のお手伝いをした際、赤い鉄橋を渡る別所線の写真を展示したんです。すると、たくさんのお子さんたちが『別所線、大丈夫かな』と話しかけてくれて……。赤い鉄橋のことをとても心配しているなと強く感じました。
いつか、お子さんたちにもっといろんな別所線の写真を見てもらえたらいいな、と思うようになりました」

別所線千曲川橋梁崩落現場と朝焼け(2019年11月3日撮影)

復興にこぎつけた2021年、上田市の担当者から光司さんに「全線開通記念式典を行うので、パンフレット用に赤い鉄橋のドローン撮影をしてもらえないか」という依頼が入ります。
上田電鉄の担当者の立会いのもと、赤い鉄橋に通って撮影を行うこと20回ほど。
康子さん「何度も何度も鉄橋に通う岡田の後ろ姿や、鉄橋がだんだん完成していく写真を見ていて、たくさんの方にこの写真を見ていただきたい、地元の人々が見守り続けた赤い鉄橋と別所線のことを知ってもらいたいという想いが生まれました」。
写真絵本のアイデアを思いついたのは、光司さんが「撮影に行ったけれど風が強くて今朝は撮影できなかった……。」と、がっかりしながら早朝に帰ってきた時のこと。
その時、康子さんは布団の中で「写真絵本ができたら、お子さんにも大人の方にも見ていただける!」とひらめいたそう。

夫婦二人三脚で、初めての絵本制作

写真絵本の一場面。ルビがふってあり、低学年でも読むことができる。

岡田康子さんが出版社に企画を持ち込み、初めての絵本制作が始まります。
「信州・上田の美しい自然風景の中を走っていく別所線の魅力を写真でお伝えしたいと考え、復旧していく場面の他に、四季折々の美しい別所線の写真も掲載しました。
実際に起きたことをテーマにした物語なので、上田駅地域、そして別所温泉地域の方々約40名に取材させていただきました。お子さんにわかりやすい文章にするため、何度も書き直しました。」

そしてついに、2022年10月、文研出版より写真絵本「赤い鉄橋を渡って行くよ」が発行されました。

絵本の反響と、読者への想い

岡田光司さん(左)・康子さん(右)夫妻。神保町の、子どもの本専門店「ブックハウスカフェ」で行われた写真展にて

お二人の想いを込めた写真絵本は、大好評を博します。
2023年のゴールデンウィークには東京・神保町の「ブックハウスカフェ」内のギャラリーこまどりにて、『赤い鉄橋を渡っていくよ』写真展を開催。
絵本は増刷され、2023年5月末の時点で3刷になりました。
そして株式会社トーハンの「先生のすすめる夏休みすいせん図書」に選ばれ、全国の1,100箇所の書店様の児童書フェアで販売が決定。
また、千葉県と福井県の夏休み課題図書、長野県の推奨図書にも選ばれています。

推薦図書のオビがついた写真絵本。

康子さん「初めて出版できた写真絵本ですので、推薦図書に選ばれた連絡をお聞きした時は、驚きと感謝で震えが止まりませんでした。取材に協力してくださった上田電鉄様や、別所線を愛する皆さまのおかげと感謝しています。上田に行って別所線に乗りに行ってみたいなと感じていただける、きっかけのひとつになれたらと思います。そして、絵本が気になったお子さんに、読書感想文を書いていただけたらとても嬉しいです!」

赤い鉄橋を渡っていくよ(文研出版)
岡田光司 写真 / 岡田康子 文

アマナイメージズでは、岡田光司さんの撮影した別所線の写真・動画を多数販売しています。出版、報道、教育関係はもちろん、広告や商品化にもお使いいただけます。
美しい信州・上田の自然の中を走る、復旧後の別所線の写真も続々と新作が入っていますので、旅行パンフレットなど観光関連の用途にぜひご使用ください。

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