アマナイメージズのAI学習用データセット開発サービス『Qlean(キュリン)』の強みは、 “Quality” と “Clean” の大きく2つ。お客様のニーズや仕様に合わせた高品質なデータを開発し、権利クリアランス対応で安全に学習利用いただくことが可能です。
これらを実現する上で欠かせないのが、社内外から絶大な信頼を寄せられている、AI学習用データ開発 プロデューサー 平山の存在です。30年以上のキャリアで培ってきた撮影現場での幅広いノウハウだけでなく、傾聴力や持ち前のビジネス視点、現場で培った権利知識を総動員し、プロデューサーとして力強く『Qlean』を牽引しています。

AI学習用データを取り巻く環境に対する課題や、AI精度向上のためにデータ開発をアウトソースすることの重要性、30年以上に及ぶ自身のキャリアで培った様々なスキルなど、詳しく話を聞きました。

平山清道
株式会社アマナイメージズ AI学習用ビジュアル開発 プロデューサー

明治大学法学部卒業。日本テレビグループの映像制作会社入社後、動画コンテンツの企画・開発を主とするディレクターとして独立。2014年12月、株式会社アマナイメージズに参画し、動画・静止画コンテンツの調達部門の責任者として、新規クリエイターの開拓からコンテンツの制作までを統括。2023年、同社にて新規事業「AI学習用ビジュアル開発チーム」を立ち上げ。データの提供に留まらず依頼主の期待に沿ったビジュアルの開発を目指し、制作現場でのディレクション経験とクリエイターネットワークを活用しながら、AI・機械学習用教師データ(画像、動画、音声等)のプロデュースを推進している。

文:Kuwano H


 

国内最大級2.4億点以上の写真・動画全てが権利クリアランス

ー これまでの経歴を教えてください。

学生の頃からテレビが好きで、大学卒業後は日本テレビグループの映像制作会社に入社しました。テレビ番組中心の制作会社ですがCM制作部もあったため、番組とコマーシャルの制作両方を経験することができました。5年勤めた後にフリーランスに転身し、番組やコマーシャルだけでなく、スポーツ番組制作にも携わることに。ディレクターやプロデューサーの立場で様々な撮影を経験してきたため、幅広いノウハウやカメラマンとのネットワークを築くことができました。
その後
アマナイメージズで動画を強化するために、映像制作の業界に携わってきた平山にお誘いがあり、これまでの経験やネットワークを活かせると思い新たなチャレンジをすることに決めました。それらが、現在のAI学習用データ開発に大いに活きていると感じています。

ー 30年以上、動画や静止画コンテンツに携わってきた立場として、現在の日本におけるAI学習用データを取り巻く環境をどのように考えていますか?

権利クリアの重要性について分かってはいるものの、時間やコストをかけるべきか悩んでいる企業は数多くあるかと思います。特に欧州諸国と比較すると、著作権を含む知的財産権、肖像権への規制について、現状の日本はまだグレーゾーンな部分が多いからです。

インターネット上で権利フリーであると謳われているオープンなデータセットは、テーマによっては使えるものもあるかもしれませんが、各種権利管理が不透明で、お客様が不安材料を抱えたままAI開発を進めることになりかねません。加えて、海外展開を検討しているのであれば、より一層権利クリアについては慎重に検討する必要があります。

また、学習用データをもとにAIの精度をさらに向上すべく、オーダーメイドでの撮影・収録が必要なこともあります。だからといって、要件定義からキャスティングなどの各種手配、機材の準備から撮影自体までをお客様ご自身で行うのは相当なカロリーを要します。過去に自分たちで画像データの準備を行ったものの、思った通りの精度が出ずに私に相談いただいたというケースもありました。我々にご相談いただければ、スピード感、コスト、質の全てにおいてご満足いただけるデータセットを提供できると考えています。

ー スピード感・コスト・質の全てにおいてお客様に満足いただける自信があるとのことですが、『Qlean』ならではの特長を具体的に教えてください。

『Qlean』の特長のひとつは、我々アマナイメージズが40年以上真摯に向き合ってきた権利処理の技術です。人物の場合には必ず肖像権使用同意書を取得し、建物等の場合においてもスムーズな許諾取得のノウハウを蓄積してきました。そのため、法的リスクやクレームリスクなく安心してご利用いただくことが可能です。

もうひとつは、要件定義から、お客様のニーズに合わせたデータ開発に伴走できる点です。静止画・動画から音声まで、新規撮影からストック素材からの厳選まで幅広いソリューションを有しています。特に新規撮影においては、様々な現場でのディレクションの実績や、信頼できるカメラマンとの強固なネットワークを最大限生かし、最適な提案が可能です。また、ストック素材の質・量にも自信を持っています。弊社を信頼いただいて様々な写真・動画をお預かりしており、その数は国内最大級の2.4億点以上。AI開発における様々なニーズにお応えでき、特に日本人や日本の風景等を幅広く取り揃えているのが特長です。

 

撮影現場で積み重ねた地道な工夫の数々が、
『Qlean』ならではのコストパフォーマンスを実現

ー 幅広い業種のお客様からご依頼をいただいているとのことですが、個人的に特に印象に残っている案件はありますか?

株式会社Ridge-iからのご依頼で実施した、『熱中症の危険性のある作業員の早期発見のためのモデル構築です。建設現場におけるさまざまな作業員のポージングを収録した写真を新規撮影しデータセットとしてご提供しました。様々な角度や高さ、ポージング、シーンの撮影を行いましたが、クライアントの理想を実現してAIの精度を向上させられるよう、マルチアングルカメラやアクションカムの導入、360度同時撮影で臨みました。また、限られた時間内で効率的かつ精度の高い撮影を行う必要があったため、モデルの方々が視覚的に分かりやすいガイドを準備して撮影しています。さながらカタログの商品カットを撮影する現場のようでしたね。AI学習用データの撮影ではなかなかないケースで、特に印象に残っています。

ー 多種多様な撮影現場での実績があるからこそ、お客様のニーズに合わせたデータ開発に伴走が可能なんですね。これまで平山さんが撮影現場で工夫してきたことを、ぜひ教えてください。

例えば、昔はドローンやスタビライザーは当然ながらありませんでした。予算が潤沢であれば、レールを引いて貨車に乗ったカメラマンが移動カットを撮影することが可能ですが、予算が限られている場合は難しい。そのため、自分で台車にサスペンションをつけて撮影したり、滑りやすいシートをフロアに敷いて、回転椅子にカメラマンが座るなど、地道な工夫を重ねることで同レベルの仕上がりを実現していました。

潤沢な予算をいただき、しっかりと機材を組んで撮影することにももちろんやりがいを感じますが、広告クリエイティブと違い、AI学習用データ撮影であればより予算が限定的です。コストを抑えつつ、いかにお客様に満足してもらえるか。30年以上、番組やコマーシャル、スポーツ番組といった様々な制作現場で、限られた予算やスケジュール、物理的制限のある中でパフォーマンスを向上させる工夫を重ねてきた経験を、今十分駆使できていると考えています。

ー撮影現場のプロデューサーとしてだけでなく、お客様への営業、要件定義作成から平山さんが担当されていますね。特に心掛けている点は何でしょうか?

できる限り丁寧に、お客様と要件をすり合わせることです。これは広告撮影で経験したことなのですが、例えば一口に「格好良い」「おしゃれ」と言っても人それぞれ受け取り方は異なる。事前に様々な種類のサンプルを用意した上でお話することで、ズレが起きないよう留意する必要があります。

AIの場合も、お客様からのご依頼に対して、角度や撮影手法を1つ1つ丁寧にすり合わせることで、理想を叶え、より良いコストパフォーマンスを実現できるよう心掛けています。ビジュアルを通してお客様に喜んでいただく上で、広告もAIも違いはありません。そのお手伝いができることに、大きなやりがいを感じています。

 

「自分たちがやらずに、誰がやる」
アマナイメージズだからこそ、時代が求めるAI倫理をリードできる

ー 平山さんのこれまでのキャリアで築き上げてきた “総合力” を、社内のメンバーが高く評価し、信頼しているのが印象的です。

何か突出したスキルが欲しいと感じていた時代もありましたが、そう思ってもらえるのはありがたいですね。

番組制作と掛け持ちで数多くのインフォマーシャル制作に携わってきた経験が活きていると感じます。営業担当と共にスポンサーとの打ち合わせに同席して先方の要望を聞きながら、自分なりの色を出して台本を制作し、撮影に臨むという通常の番組制作にはない工程を経験できました。まさに今の仕事に近いスタイルですね。
いずれも限られた予算ではありましたが、様々な物理的制限のある中でお客様の理想を実現し、撮影パフォーマンスを向上させるスキルを身につけることができました。

ー 最後に、今後の展望を教えてください。また、AIの安全性や透明性の向上が叫ばれる中で、アマナイメージズの『Qlean』としてどのような役割を果たせると考えていますか?

社内だけでなく、いつもご協力いただいているフォトグラファーやビデオグラファーなど、それぞれが独自の強みを持つ皆様とさらに一丸となって、より多くのお客様のご依頼を実現できる体制を構築していきたいと考えています。

そのためには、これまで取り組んできたように、真摯にものづくりに取り組むことに尽きると思います。AIについては必ずしもポジティブな側面だけでなく、特に権利関係についてはネガティブな面についても報道されることが多いですし、その実態を不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

アマナイメージズとして40年以上権利処理に向き合ってきたからこそ、権利者を守り、きちんと還元する仕組みを整えていく必要を痛感しています。自分たちがやらないで誰がやる、という強い気概を持って取り組んでいるところです。これまでも安心・安全をリードしてきたという自負がありますが、『Visual Bank』グループとしての新体制の下、『Qlean』内外での様々な取り組み等を通して、時代が求めるAI倫理を力強く推進していきたいと考えています。

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