本エッセイは、ライター・チャンワタシさんによる文章と、アマナイメージズ クリエイティブディレクター・松野正也によるフォトキュレーションでお届けします。
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私は雨運が悪い。
ことごとく雨にはテンションを下げられる人生で、「思い出はいつの日も雨」とサザンが歌ったときは、それ私が言いたかったやつ!と思った。
おもに、私が雨運の悪さを発揮するのは、雨が上がった後の話だ。
たとえば、友達と一緒に歩いているとき。
そんなとこに枝があったんかい!ってところから落ちてくる大きな水滴は、だいたい私だけに当たる。電柱や雨よけの屋根から落ちてくるときもそう。
一滴のしずくが、通りすがりの自分に落ちてくる確率なんて天文学的数字なはずなのに、なぜか私には命中する。しかも、あちらも少ない水分を貯めに貯めた渾身の一発だから、当たったときの代償は思いのほかでかい。
学生時代、好きな人に「なんか髪の毛濡れてない?」と言われたときは水滴を恨んだ。その日の前髪のセットも台無しになる、ほんと、水滴のくせに。
運が悪いのは水滴だけの話ではない。
たとえば、横断歩道で信号待ちをしているとき、サーっと走りゆく車にギャグみたいに水たまりの水をかけられたこともこれまで何度もある。隣の子の洋服はからっからなのに、なぜか私だけ滝行後みたいになっていることもあった。
事前に予測して避けても、思わぬ方向から水をかけられたりして、もう私はそういうのを避けれない運命になっていると思った。抗えない。
だから、私は雨運が悪い。
雨運は悪いけど、他の運は人の1.5倍くらいは良い。晴れ運もくもり運もたぶん良い。そう信じている。
そんな風に小さなことは、世の中とんとんに、うまく神様がやってくれていると思う。
チャンワタシ(ちゃんわたし)
1990年生まれ。Webメディアの編集者をしながら、2017年6月よりフリーライターとしても活動中。取材記事・コラム・エッセイなどを手がける。日常の気づきを綴った『note』が人気。
Twitter:@chanwatac
note:https://note.mu/hoshinc
松野 正也(まつの まさや)
株式会社アマナイメージズ取締役。2007年グラフィックデザイナーとして株式会社アマナに入社、CI/VI開発・制作に携わる。2009年からamanaimages.comのWebデザイン・サイト運営を担当。現在は、主に広告制作マーケットに向けたストック商材のクリエイティブディレクションを担当している。