「趣味は人間観察」の皆さん、こんにちは。ライターのカツセです。

「街を歩くのって楽しいし、そこを歩いている人たちの人生を想像するのも愉快。忙しいとなかなかそんな時間も取れないけれど、カメラひとつ持ってブラブラと散歩する時間を大切にしてほしい」。

そんな想いから、街を歩いてその場で見た光景にストーリーを付ける当連載「妄想寫眞(もうそうしゃしん)」を始めました。

今回の舞台は、真夏の新宿。「デートするならこんな会話したいよね」という妄想を広げながら、平日昼間の新宿を歩きました。

※この記事のために撮った写真は、ストックフォトサービス ForYourImagesで購入可能です。気になった方は購入いただけますし、腕試しにクリエイター登録して、ご自身で撮った写真を投稿することもできます。試してしてみてくださいね!

それでは、物語のはじまりです。
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この日の集合場所は新宿駅西口の地上だったのだけれど、待ち合わせ場所が指定しにくく、とにかくわかりづらい。

まず「自分は地上にいるのか、地下にいるのか」を自問自答するところから始まると思うけれど、これが、カップルのデートだったら、

「え、改札でたよ?」
「あれ? 俺もだよ?」
「うそ? いないよ?」
「え、それ、地下じゃね?」
「え? ここ地下なの? でも、車走ってるよ? あとGODIVAが見える」
「GODIVAがあったら地下だな? 迎え行くわ笑」
「えー! ごめーん…」

ってやりとりのあとに合流して「しょうがねえなあ」って頭クシャクシャするやつから始まると思って。そういうデートが、大好きです。

 



で、コンクリの照り返しでめちゃくちゃ暑くなった都庁周辺を抜けて、新宿中央公園に木陰を探しに行く。ちょうどお昼前だからか、袖をまくったサラリーマンやOLがたくさん歩いているところを横目に、できるだけ自由を見せびらかすように歩く。

僕はこういう公園を通るたび、ふたりしてユニクロで買ったTシャツ(デザインがちょっと似てる)と短パン、サンダルを合わせて歩いたら超幸せだと思っていて、それこそ、売店で売られている安っぽいコーンに入ってるチョコミントのアイスでも食べながら、「あっちいねえ」って言いながらも、小指だけはつないでいるようなやつがやりたいのです。

そんで
女「ずっとこんな時間が続けばいいなあ」
男「えーやだよ、こんな暑いの」
女「えーなにその反応。冷たい。アイスみたいに冷たい」
男「んー、でも……」
(ここで男が女にキスする)
男「アイスは冷たくても、甘いでしょ?」

なーんてどっかのマンガにあるような、甘く暑く、熱い夏を過ごしてみたい。

 



中央公園を抜けたらダラっと歩いて西口大ガードをくぐり、今度はドン・キホーテに向かうように東口方面に出る。

公園からここまでの距離は徒歩にして15分か20分程度だけれど、それでも汗だく。普段日光を浴びない生活をしすぎているせいで、体もズンと重くなったように感じる。

こういう「暑い」というより「重い」を実感するような日は、夕立ちかゲリラ豪雨のような女の人と、そのまま全部夏のせいにしちゃうようなやつがしたくて、

女「暑いからさ、どっかクーラー効いてるところ、いこ?」
男「んー、ファミレスとか?」
女「んっと…汗だくだし、シャワーも浴びたい」
男「じゃあ、ネカフェかな?」
女「いや、そーじゃなくって……」
男「え? んー? 銭湯?」
女「いやいやいや。もー…ほんと、言わせないで……笑」

っていう少年誌よりわかりやすい展開でTOHOシネマズの奥に消えてみたい阿呆が、ここにいます。

 



ドンキから駅の方に戻って、新宿駅東口近くの横断歩道を歩く。渋谷のスクランブル交差点ほど混雑はしていないものの、サラリーマンや学生、よくわからない職業の人がたくさん信号待ちをしては、またそれぞれの目的地へ向かって歩み始める。

僕も「よくわからない職業」のひとりとして、この横断歩道を進むけれど、可能ならば「白いところだけ歩くゲーム」とかを始めてしまうような、美人よりは可愛い女の子とかと一緒に歩いてみたいと強く思う。

「よっ、よっ、ほっ」
「暑いのによくやるねえ」
「えへへへ。もうすぐゴールっ! ほっ、よっ! はい、着いたっ!」
「はいはい」
「はいっ! 先に着いた人への賞品は?」
「へ? 何それ」
「は? 競争なんだから賞品あるに決まってんじゃん! 当たり前でしょ?」
「待て待て待て、めっちゃ暑苦しいなそれ笑。いつ決めたよそんなルール」
「いいの! ホラ、さっさと! ちゅーとか! そういうのないの!?」
「あ、そんなんでいいの? 31のアイスクリームとかカキ氷じゃなくて?」
「え、なにそれ、食べたい」
「なんなの笑」

みたいに、童心に戻るような彼女と一緒に歩くオトナな新宿も、悪くないと思う。

 



で、最後に寄ったのが新宿駅南口の髙島屋の屋上で。東京のド真ん中にいる感覚を味わいながら、比較的速く動いている雲をぼんやり追っかけていたのです。

人は高いところに上ると黄昏てみたくなるもので、僕もどうせならこういうところで、金網に指を絡めながら遠くの街を見てぼんやりと見て恋愛相談とか人生相談してくる女性に会いたい。

「本当に、好きだったんだー」
「本当に、好きだったんだろうねえ」
「うん。もう、この歳だけどね、これ以上の人はいないって、思っちゃった」
「じゃあ、本当にそうなのかもなあ」
「別に、ルックスそんなによくないし、お金持ちでもなかったの。でも、波長が合っちゃった。本当に、離れていても、近くにいても、心地よい人だった」
「おれも、そういう人になりたいな」
「ん?」
「おれが、きみにとって、そういう人になれたらなって、いっつも思ってた」
「え…」

とここで、夏の、雨上がりの、少しだけ冷えた風が、ふわっと吹くようなそんなシーンがあったら、現実はなんて美しいのだろうと6732193448回思った。

そんな感じで、新宿の散歩はおしまいにして、また、次の場所へ向かいます。
「趣味が人間観察」の皆さん。スタバの店内から通行人を眺めるのもいいですが、時間が合ったらスマホをカメラモードにして、あちこち歩いてみてください。ちょっとした気晴らしに、いいですよ。

※この記事のために撮った写真は、ストックフォトサービスForYourImagesで購入可能です。気になった方は購入いただけますし、腕試しにクリエイター登録して、ご自身で撮った写真を投稿することもできます。試してしてみてくださいね!

カツセマサヒコ

ライター/編集者。編集プロダクション・プレスラボを経て、2017年4月よりフリーに。 広告記事・取材記事・コラム・エッセイ・小説の執筆等を中心に「言葉」を扱う領域を縦横無尽に駆けまわる。 趣味はスマホの充電。

Twitter : @katsuse_m

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