デジタルマーケティングの最前線の活用事例を取り扱う広告賞として注目を集めている「コードアワード」。その派生イベントとして開催されている「CODE Digital Creative Academy(以下、コードアカデミー)」。毎回ゲストとテーマをが準備され、業界の今と未来について考え、語り合われます。

■ コードアワードとは?:公式サイト
■ コードアカデミーとは?:公式サイト

今回で4回目となるセミナーのテーマは「スポーツとデジタル」。「スポーツ」もクリエイティブに進化する時代、私達の考える「スポーツ」という枠組みでは収らない新たな競技の開発やイベントが行われている昨今、新しいスポーツ・クリエイションを創造するために必要なことは何なのか?

トークセッションのゲストスピーカーは最新のテクノロジーを駆使して新たなスポーツの価値を生み出し続ける4名。(※以下、敬称略)
● 渋谷区関連代表理事/EVERY DAY IS THE DAY クリエイティブディレクター:金山 淳吾氏
● 一般社団法人世界ゆるスポーツ協会 代表理事:澤田 智洋 氏
● 1-10LAB クリエイティブディレクター:引地 耕太氏
● IMG SRC プロデューサー:上林 新 氏
モデレーターは、HEART CATCH 代表取締役 西村 真里子氏が務められました。
スポーツはクリエイティブへと進化する!コードアカデミーVol.4 潜入レポート

まずは、コードアワード運営事務局 事務局長 中田 せらさんからご挨拶。
スポーツはクリエイティブへと進化する!コードアカデミーVol.4 潜入レポートコードアワードの開催に限らず、コードアカデミーの実施は、業界の広がりや発展、人材の育成などに寄与できることを目指しており、クリエイターの皆さんに還元したいと熱い想いを語られました。

また、今回は初めて外部の組織とコラボレーションをしたイベントとなっており、Interactive Communication Experts (ICE) の 小池 博史 さんより、ご挨拶がありました。
スポーツはクリエイティブへと進化する!コードアカデミーVol.4 潜入レポートInteractive Communication Expertsはクリエイティブを発揮するための魅力的な環境作りを行い、国内のデジタルクリエイティブを世界に向け発信していくことを目標としています。現在18社のプロダクションが所属しており、加盟・協賛企業も年々増え注目を集めています。

そして、いよいよトークセッションのスタート!

まずは、ゲストスピーカーの皆さまが取り組まれているお仕事のお話しから。
面白い話が盛りだくさんの中、PORTFOLIO編集部が内容をピックアップしてお届けします!

渋谷区関連代表理事/EVERY DAY IS THE DAY クリエイティブディレクター:金山 淳吾氏

スポーツはクリエイティブへと進化する!コードアカデミーVol.4 潜入レポート自身のスポーツの原点は、ウィンドーサーフィンのプロを目指していたという金山さん。その夢は叶わなかったものの、スポーツ選手に会いたいという情熱からスポーツ選手を起用した企画などを行っており、現在は渋谷区を良くするプロジェクトの中で「スポーツをしたくなる街づくり」を目指されています。

オリンピックなどの大会はその時が終われば記録や順位は人々の記憶から薄れゆくものですが、自分自身の記録は覚えている、と楽しそうに語る金山さん。そこから、誰でも気軽に参加できるスポーツを行えば記憶として残り続けると考え、そのときに思いついたのが『かけっこ』だったそうです。

「老若男女も障害がある方も、スタートラインとゴールテープがあると、みんな走り出してしまう」というワクワクする心理を活用。そこから、『全力で走ろう!』という企画を推進し、全国各地を巡回してイベントを開催されています。

その他にも、どこまで早く素晴らしいアートが描けるかを競う『LIMITS Digital Art Battle 』、競うのではなく長くラリーを続ける方がよい得点となる卓球ゲーム『pong! pong!』など、新たなルールを生み出してスポーツに変えていく取り組みを多数おこなわれています。

こうした経験から「行動スイッチをどう押してあげるのか」が大事だと語る金山さん。パリにあるバスケットコート『ピガール・デュペレ』。街の一角にある空き地をアートでデザインしバスケットのコートを置いたことにより、空き地がバスケットができる場所に変わりました。

スポーツは“やれ”というのではなく、みんなが思わずやってみたくなる仕掛けを考え「行動スイッチを押してあげる」事が活性のポイントだと強く語られていました。

一般社団法人世界ゆるスポーツ協会 代表理事:澤田 智洋 氏

スポーツはクリエイティブへと進化する!コードアカデミーVol.4 潜入レポート『弱さの革新 weakness innovation』が軸となっているという澤田さん。自身でも運動が苦手であったことで『自分の弱さ』を感じていることから、弱みという多様性を起点に、スポーツ弱者を世界からなくす『世界ゆるスポーツ協会』を運営されています。

日本には、850万人の障碍者、3,500万人の高齢者がおり、合わせると人口の約3割を占めています。また、日本では49.5%の人が運動が縁遠いそうで、weaknessをマーケティングで活用していけると、語る澤田さん。そのことで、ターゲットを広く持たれ、以下のポリシーを掲げています。

■ 老若男女健障害、だれでも楽しめる。
■ 勝ったら嬉しい。負けても楽しい。
■ プレイヤーも観客も笑える。

球技が苦手でも楽しめる、激しく扱うとボールが泣いてしまう『ベビーバスケ』や、下肢に障害があっても楽しめるイモムシになりきってプレイする『イモムシラグビー』、全身が動かなくても楽しめる声だけで戦える相撲『トントンボイス相撲』など、新たな切り口でのスポーツを生み出されています。

日本は、経済複雑性という指標で世界1位(澤田さんは日本が○○1位というのが非常に好きな指標だそうです!)のようで、世界一多様な技術を創造する力があると言います。

例えば、NEC( 日本電気株式会社 )が提供している顔認証技術を使って『顔借競争』を実施したりと、日本の技術を活用した競技を生みだされているのも魅力の一つです。

日本が大好きでスポーツが苦手と感じられている澤田さんだからこそ成し得るスポーツの価値があるのかもしれません。

1-10LAB クリエイティブディレクター:引地 耕太氏

スポーツはクリエイティブへと進化する!コードアカデミーVol.4 潜入レポート日本財団パラリンピックサポートセンタープロジェクトに関わり、パラリンピックの選手にスポンサーがつかないという課題を受けて、様々な取り組みを実施されている引地さん。日本財団と共同のオフィスをつくり、パラスポーツの魅力をアピールするための場所として提案。パラリンピックの選手たちが自分たちで記者を呼び、会見を行ったり、イベントが行えるように尽力されているそうです。

また、ダイバーシティの考え方を基に、個にフォーカスした『i enjoy !』をテーマとしてかかげ、一人ひとりが自分のロゴマークが作成できるサイト『i enjoy ! maker』を作られました。折り紙をテーマに、一つ一つのロゴが全く異なる設定で作成できるよう設計されており、パラスポーツへの理解・興味喚起を促進されています。

その他、『CYBER SPORTS』というパラスポーツをテクノロジーの力で拡散する取り組みをおこなわれています。その中でも特に興味深かったのは3つの要素を含んだスポーツ『CYBER BOCCIA』

スポーツはクリエイティブへと進化する!コードアカデミーVol.4 潜入レポート
■ VISUALIZE:ポッチャの本質である『戦略性』を美しくデーターヴィジュアルライズ
■ SENSING:自動ポイント計測で審判がいなくてもプレイできる
■ SOUND:1投ごとに音が重なり、徐々に音楽が試合を盛り上げる

『CYBER BOCCIA』は大阪のアミューズメント施設に設置されており体験もできるようです。新たなスポーツ体験是非とも味わってみたいですね。

IMG SRC プロデューサー:上林 新 氏

スポーツはクリエイティブへと進化する!コードアカデミーVol.4 潜入レポート2020年の東京オリンピック 1000日前を記念するイベント『 YOYOGI CANDLE 2020 』の企画、制作を務められたプロデューサーの上林さん。代々木のNTTドコモ代々木ビルへプロジェクションマッピングを行う同イベントは、プロジェクションマッピングの映像と個人のスマホが完全同期するサウンド配信や、NTTが推進する次世代のライブビューイング『Kirari!』の活用、5G(第5世代移動通信方式)を使った映像伝送などの最新技術をふんだんに盛り込んだ革新的な新体感プロジェクションマッピングプロジェクトとして注目を集めました。

本プロジェクトの実施にあたっては、屋外広告条例をはじめとした既存の各種規制への対応もあり、様々なところへの許諾取りがハードルとなったようですが、今後大規模建築物のパブリックビューイングの活用や都市機能の新たな広がりも期待され実現することができたとのこと。2020年を盛り上げていくための規制緩和の動きにつながったクリエイティブと言えます。

その他には、NIKEと共に実施したランニングマシーンと映像、音楽が連動した『AIR MAX BEAT MAKER』、凸版印刷と共に実施した、視界を遮断した状態で聴覚を頼りにボールの位置を把握するパラリンピック競技『ゴールボール』体験インスタレーション『invisible ball challenge』など、運動とテクノロジーを融合させることでオリンピック・パラリンピック認知のきっかけをつくることに取り組まれています。

スピーカーの皆さんは、未来のスポーツを最先端の技術と共に独自の目線で熱く語ってくれました!

後篇は、いよいよスピーカーの皆さんのディスカッション内容をお届けします!後編はこちら

スポーツはクリエイティブへと進化する!コードアカデミーVol.4 潜入レポート【後篇】