海の生存競争 誰しも食べたいが、食べられたくはない

※この記事はamanaimages.comで過去に掲載されたものです

作家プロフィール

フレッド・バヴェンダム Fred Bavendam名前
アメリカ、オハイオ州出身、ニューハンプシャー大学で動物学を専攻する。コマーシャルフォトグラファーとして活動するが、28歳のときスキューバダイビングを始め、趣味で水中写真を撮るようになる。その後コマーシャルフォトを辞め、水中写真家となり、「ナショナル・ジオグラフィック」をはじめとする数多くの一流雑誌を飾る。数回に渡り、BBCワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤーを受賞。

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サンゴ礁で生き残る技術

写真/文 フレッド・バヴェンダム

サンゴ礁で生き残る技術 フレッド・バヴェンダム ミンデン・ピクチャーズ

インド洋から太平洋のサンゴ礁は、生態的に非常に多様な地域だ。そこは陸上の環境でいえば熱帯雨林のようなもので、世界中のどの海とも比較できないほど複雑な生態系が構築されている。ニューギニアからフィリピン南部、インドネシアに連なるサンゴ礁には、何百種ものサンゴと何千種もの魚のほか、数えきれないほどの無脊椎動物が生息している。
そのおかげで生態系は非常に複雑に絡み合い、また非常に安定もしている。たとえば、食物連鎖の関係が多くの種で成り立っているため、もしある種が激減することがあってもすぐさま別の種がその地位を補い、捕食者が激減することにはつながらないのである。

誰しも、食べたいが、食べられたくはない。 生物は成体になり、交尾をし、次世代に自分の遺伝子を残すまで生きたいと考える。サンゴ礁における食物連鎖の頂点に位置するのは、サメやバラクーダだが、かれらは我が物顔でサンゴ礁を泳ぎ回り、食べたいときに食べることができる。しかし、誰もが頂点に君臨できるわけではない。弱者が種として存続していくためには、生き残る技術が必要である。
時にその技術は一つではなく、いくつも組み合わされることもあるが、目的はただ一つ――生存することである。

 

サンゴ礁で生き残る技術 フレッド・バヴェンダム ミンデン・ピクチャーズ

あまり力のないサンゴ礁の住人にとって、生き残るために有効な技術は、隠れ場所を持つことだ。
小魚の多くは、枝分かれした造礁サンゴの近くで採餌している。その隙間は迷宮のように入り組み、小さな魚にとっては泳ぎやすいが、大きな捕食者にとっては獲物を見つけにくいのだ。また、自分で隠れ場所を作る生物もいる。砂に穴を掘っておき、危険を察知したらそこへ逃げ込むのだ。

 

サンゴ礁で生き残る技術 フレッド・バヴェンダム ミンデン・ピクチャーズ

しかし、サンゴの隙間でも巣穴の中でも、そこにいる限り自分が食べものを探すことはできない。そこで、自分の身を守りつつ食べものを探す方法も編み出された。
たとえば、強固な鎧を身にまとったり、体色を周囲の色に合わせたり、強い者に寄り添ったりすることで、捕食者から逃れる方法だ。それに対し捕食者は、歯や顎を強化するなど、対抗する能力を進化させてきた。獲物の防御手段を無効化できなければ、飢えるしかないのである。

 

サンゴ礁で生き残る技術 フレッド・バヴェンダム ミンデン・ピクチャーズ

捕食者の攻撃を避けるため、防御力を高めることは有効だ。巻貝や二枚貝は堅固な貝殻で体を覆い、いつもその中にひそんでいる。貝殻よりも防御の面でやや劣るが、カニなどの甲殻類は関節のある外骨格を持ち、機動力も確保した。ウニやヒトデの一部、ハリセンボンなどは、体に鋭いとげをまとい、敵の接触を許さない。

 

サンゴ礁で生き残る技術 フレッド・バヴェンダム ミンデン・ピクチャーズ

また、毒も有効な防御手段だろう。ウミウシは派手な体色で毒を持つことを宣伝しているし、フグの神経毒も強力だ。ミノカサゴはひれに毒針を忍ばせており、これで刺された相手は死んでしまうこともある。

 

サンゴ礁で生き残る技術 フレッド・バヴェンダム ミンデン・ピクチャーズ

小さな魚がよく使う防御方法としては、大勢で群れる行動が有名だろう。これは遠くから見ると、まるで大きな魚のように見える。もし小魚の群れだと気づいたとしても、捕食者が一匹ではするりと逃げられてしまう。捕まえるには捕食者同士で協力し合い、群れを取り囲むしかない。

 

サンゴ礁で生き残る技術 フレッド・バヴェンダム ミンデン・ピクチャーズ

変わったところでは、他の種との間に特別な関係を築くという防御方法もある。別種の生きものが一緒に暮らすことを共生(Symbiosis)というが、これは古いギリシア語のsym(一緒)とbios(住む)という二つの言葉からできたものだ。共生には、双方に利益があるものもあれば、片方だけが得をしているものもあり、一生にわたり続く関係もあれば、一時的な関係も見られる。(続く)

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ストーリーセットとは

ミンデン・ピクチャーズでは、写真とそれに纏わるテキストをセットにした「ストーリーセット」をご用意しています。生物・自然科学に精通したフォトグラファー自らが執筆したレポートと写真のセットや、数年に渡り動物の生態を追いかけたシリーズなど、幅広いジャンルを取り揃えています。

料金について

・ストーリーセットの料金はご使用いただく写真の合計点数や使用目的に合わせ、個別に提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
・テキスト料金は各ストーリーセットごとの文章ボリュームによって変動いたします(目安¥50,000(税抜))。
・専門家の監修や編集のご依頼も承ります。自然科学分野における出版企画・編集を専門的に行う株式会社ネイチャー&サイエンス(アマナグループ)がサポートいたしますので、まずは下記までご相談ください。

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