広告のビジュアルで何を伝えるのか。
広告を発信するクリエイターやデザイナーの方にとって、どんなビジュアルで何を伝えるかという問題は非常に重要だと思います。きっと、何か新しいアイデアはないか常に探していらしゃるのではないでしょうか。頻繁に使用されるであろう目的やシチュエーションを想定して予め用意しておく写真、ストックフォト。イメージを固め、いざ具体的なビジュアルに落とし込もうと販売サイトで探してみても、何かしっくりくるものが見つからない…。といった経験はありませんか?
そんな広告ビジュアルでお悩みの皆さんに、アマナイメージズの中で、誰よりも多くのストックフォトを目にしている仕入れチームが厳選したストックフォトをご紹介していきます!皆さんのクリエイティブに何か新しい発想を生み出すヒントや手がかりとなれば嬉しいです。今回はアマナイメージズで、世界各地の生き物を中心に仕入れる「海外自然科学」を担当されている木谷美杉さんのお力をお借りしました。
昨今、犬や猫はもちろんのこと、フクロウカフェや爬虫類カフェがテレビで取り上げられるなど、様々な動物がより身近なものとして受け入れられるようになってきました。見るだけで癒しを与えてくれる動物たちは広告やカレンダーとの親和性も高く、使いやすいのではないかと思い、かわいくて思わず抱きしめたくなってしまうような、海外から届いた「もふもふな動物たち」を厳選してみました。普段、ストックフォトを利用されない方でも、写真集を見るような感覚で楽しんでみて下さい。
かわいさの秘密は、寒さから身を守るため
まずは、ネコ目イヌ科、北極地域に生息するこのホッキョクギツネです。このもふもふの毛と丸いフォルム。もう文句なしにかわいいですよね。極寒地で生息するため冬季は毛が密生し、脂肪を蓄えているので、丸い体型をしています。この真っ白な冬毛は7割が保温効果の高い下毛なので、他のキツネに比べて寒さに強いそうです。
ちなみに夏はこんな姿になっています。
あれ、本当に同じ動物なの?と疑いたくなってしまうほど見た目が変わってしまいましたが、どちらも同じホッキョクギツネです。夏季は周りの環境に溶け込むような保護色の茶色い夏毛に生え変わり、蓄えていた脂肪も減って、顔立ちもシュッとして凛々しくなります。こういった季節や環境によって見た目が変わる動物を集めてカレンダーや広告のバリエーションとして提案するのも面白いかもしれません。
和名:ホッキョクギツネ
学名:Vulpes lagopus
生息地:北極圏
真っ白なのは、2週間だけ
次はこちら。ネコ目アザラシ科のタテゴトアザラシです。生後14日ごろまでの幼体は全身が白い体毛で覆われ、その後灰色の体毛に生え変わるという特徴があります。なので、この真っ白な時期は非常に短く、この時期の毛皮を狙った商業アザラシ猟が問題になっているそうです。
生え変わって大人になった姿はこちらです。
先ほどのホッキョクギツネとは違い、成長するにつれて見た目の色が変化していくので、成長や親子との対比をテーマに広告を制作してみるのもいいのではないかと思います。
和名:タテゴトアザラシ
学名:Phoca groenlandica
生息地:北大西洋、北極海など
このかわいさ、まさにエンペラー級
ペンギン目ペンギン科のコウテイペンギン。羽毛は尾羽の付け根の尾脂腺から分泌される脂を羽づくろいで塗りつけることで防水処理され、水と寒さから身を守っており、雛はふわふわした灰色の綿毛で覆われています。
繁殖期には群れで集まり、コロニーを作って子育てをします。
コウテイペンギンの群れの中で佇む雛の姿もかわいいですし、1枚目のような寄りのビジュアルでは、何を考えているんだろう?と雛に思いを馳せるような表現をすることができるので、多種多様な広告にもハマりやすいのではないでしょうか。
和名:コウテイペンギン
学名:Aptenodytes forsteri
生息地:南極大陸と周辺地域
小さな体で時速65km
続いてはウサギ目ウサギ科のホッキョクノウサギです。極寒の厳しい環境に適応するため、冬は真っ白な厚い毛皮で覆われています。最高時速65kmものスピードで走ることが可能な長い脚を持ち、もふもふの体から長い脚が伸びるギャップあり過ぎな姿が話題にもなりました。
その話題になったホッキョクノウサギの駆ける姿がこちらです。
確かに想像していた姿よりも、心なしか脚が長いように感じます。先ほどのかわいらしいイメージから一変して、立ちあがった瞬間から「これじゃない感」が漂ってきますが、ホッキョクノウサギのかわいいだけでないギャップのある姿を対比させるというアイデアも面白いと思います。
和名:ホッキョクノウサギ
学名:Lepus arcticus
生息地:グリーンランドのツンドラ地域,カナダ北部
もふもふはマダガスカルにも
サル目インドリ科のコクレルシファカは、マダガスカルに生息する希少動物で、頭部の顔と耳の裸出部は黒く、腕と太ももの前面、胸が茶色く、それ以外が白という特徴的な毛皮を持っています。基本的には樹上で生活していますが、まれに地上に降り、地面を飛び跳ねながら移動するそうです。
そんなコクレルシファカが地上で飛び跳ねている姿がこちらです。
地上へ降りた途端に「もふもふしていてかわいい」といった印象よりも、「今にも襲い掛かってくるんじゃないか」といったような不気味さが勝ってしまいますが、とにかくビジュアルのインパクトが欲しい!という方にピッタリの一枚です。
和名:コクレルファシカ
学名:Propithecus coquereli
生息地:マダガスカル島
フクロウブーム到来!フラットウッズモンスター!?
最後は、フクロウ目フクロウ科のメンフクロウです。その名の通り面のように白い顔を持ち、体には蛇の目のような模様があります。フラットウッズモンスターという宇宙人に間違われたのはメンフクロウという説も。近頃、フクロウブームが到来していると話題になっていますが、フクロウの中でも比較的知名度の高いメンフクロウは広告でも使いやすいのではないでしょうか。
雛は綿毛のように、更にもふもふとしていてかわいらしいです。
ちなみにネットでは「メンフクロウが怖い。」という意見も目にするのですが、そんな抵抗のある方に対してはこのもふもふな雛メンフクロウを使って是非ともかわいさをアピールして頂きたいです。
和名:メンフクロウ
学名:Tyto alba
生息地:、ヨーロッパ、アメリカ、、オーストラリア、アフリカ、東南アジアなど
さて、いかがでしたでしょうか?こういった「かわいい」と直感的に伝わるキャッチーな動物ストックフォトは、広告のメインビジュアルだけでなく、カレンダーや写真集などの企画提案のアイデアとしてもご利用頂けるのではないかと思います。また、動物を起用することで直接的な表現を避けることができ、柔らかなイメージで表現することが可能になります。今回のようにかわいいだけじゃない姿もあえて見せて、ギャップを楽しんでもらうというのも面白いのでは。是非参考にしてみて下さい。
今回のセレクター:木谷 美杉(Misugi Kitani)
アマナイメージズで海外自然科学の仕入れを担当しており、入社前はイギリスの証券会社に勤めていたという異色の経歴の持ち主です。