プロフィール:フランス国立美術館連合(la Reunion des Musees Nationaux) フランス国立美術館連合
1895年フランス文化省美術館総局の管轄のもと設立。ルーヴル美術館、オルセー美術館に代表される30以上のフランスの国立美術館を統合する組織で、1990年より商工業的公共機関(EPIC)として認められており、商業活動による利益によって世界的美術品の保存と美術館の運営をサポートしている。2011年には公的施設である「グランパレ・シャンゼリゼ」と統合し、フランス国立美術館連合・グランパレ(RMN-GP)となる。


※この記事はamanaimages.comで過去に掲載されたものです

 

フランス国立美術館連合のジャン=ポール・ベシエさんにお話を伺いました

フランス国立美術館連合(RMN-GP)写真部門の責任者、ジャン=ポール・ベシエさんにフランスの美術館の公式画像の制作や現在進行中の国家プロジェクトについて伺いました。

──フランス国立美術館連合とはどのような組織ですか?

フランス国立美術館連合は、芸術作品を買い上げフランス国家所蔵作品の充実を図ることを目的として1895年に設立されました。写真部門はフランス国内最大規模を誇り、先史時代から現代までの80万点に及ぶ芸術作品のデジタル画像をアーカイブする世界三大フォトエージェンシーの1つでもあります。
撮影やポジフィルムのデジタル化に際しては、美術館の学芸員が撮影からラボでの処理までの全工程に参加し、綿密な調整を行います。また、私たちは美術館の展示室に立ち入り作品に近づく特別な権利を与えられているため、美術館が正式に認めるオフィシャルな写真を撮影することが出来ます。

──美術作品の複写(撮影)について教えていただけますか?

美術作品は定期的に汚れを落とし修復を行いますし、撮影機材や技術も絶えず発達しているので、その画像も継続的にアップデートされるべきだと考えています。我々はフランスの国立美術館の公式フォトエージェンシーとして、現在の技術で可能な限り、もっとも正確な表現であることを保証し、フランスの国立美術館の公式イメージを提供するため最大限の努力を続けています。

──「モナリザ」の再撮は本国フランスでも話題になりましたね

フランスの美術館には多くの有名作品が所蔵され、世界中のフォトエージェンシーが画像を扱っていますが、そのクオリティはバラバラです。そこで2011年、フランス文化省は美術作品の「公式」画像を制作するキャンペーンを立ち上げました。まず最初に取り組んだのが、かの有名な「モナリザ」なのです。
数週間に及ぶ入念な準備の後、2011年11月21日、「モナリザ」がメンテナンスのためにケースから外されたわずか45分の間に慎重にカラープロファイルを測定し、機材を調整して撮影を行いました。その後数日間かけて、学芸員とともにラボで最新の技術による処理が行われ、もっとも本物に近い複写、フランス文科省による「公式」画像が完成したのです。そしてこのキャンペーンはフランス国立美術館所蔵の有名作品を対象に、いまも続けられています。

フランス国立美術館連合
──どのように「本物」の色を再現しているのですか?

撮影、スキャニング、現像にあたって最新の機材を使用するのはもちろん、最も先進的で互換性のあるソフトウェアにより、厳格な基準で管理しています。ローデータはICC(インターナショナル・カラー・コンソーシアム)の規格に準拠して処理され、すべての色のニュアンスやイメージを正確に再現するため万能で汎用性のあるDonRGB4を使用しています。
また、デジタル画像で美術作品の色を忠実に再現するには、オリジナルの色を測定しデジタルデータと比較することが非常に重要です。これには分光比色計を使用しています。さらに、画像はアーカイブされる前にも検査され、オリジナルを忠実に再現するために、限界までラボで調整します。

──美術作品の広告使用や画像の改変について教えていただけますか?

フランス国立美術館連合

美術作品の広告使用を常識的な範囲で歓迎しています!ヨーロッパでは、すでに我々の画像が幅広い業種の広告で使用されていますし、可能な限り柔軟な対応をしたいと考えています。ただし美術館や作品の信頼性を損なう使い方、違法と解釈されるような使い方、特定のセクターに対する中傷、加えて現行のガイドラインによりポルノ、タバコ、政治、宗教については使用許諾が出せないことをご了承ください。

 

フランス国立美術館連合
──日本のユーザーにメッセージをお願いします

まだ公式発表前ですが、アマナイメージズのお客様にお知らせしたいことがあります。フランス文化省と国立美術館、フランス国立美術館連盟写真部門は3年がかりで3D撮影を行うキャンペーン”フレンチ・コレクション”を2014年1月に開始することを計画しています。ルーヴル、オルセー、ヴェルサイユ、ギメ美術館に所蔵される有名な美術作品約2,000点が高解像度で再現され、研究、映画、ビデオ、ゲーム、宣伝などあらゆる用途にご使用いただけるようになる予定です。併せて2Dの高解像度画像も3年でさらに25,000点追加する予定なので、ご期待ください。

(2013年9月18日 メールインタビュー)

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