本エッセイは、ライター・チャンワタシさんによる文章と、アマナイメージズ クリエイティブディレクター・松野正也によるフォトキュレーションでお届けします。
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先日、前職のS田さんと久しぶりに会った。彼女はなんでも丁寧にこなす人で、職場でもみんなに愛される素敵な女性だ。
当時の話や、職場の人が今どうしてるかなんていう話に花を咲かせたあと、彼女は一言私に言った。
「あのときね、ほしちゃんが「いつも本当に丁寧に仕事しますよね!」って言ってくれたんだよね」
正直、自分が言った記憶もなかったし、わたしはなんて当たり前なことを言ったんだ、と思った。彼女がちゃんと仕事をしていること、そんなの職場の人みんな感じていることだった。
それでも彼女の中ではとっておきの一言だったらしい。
当時、自分の仕事が人より遅いことをとても気にしていた彼女は、そのタイミングでもらったわたしの言葉に救われたんだよ、と。
自分も覚えていないような些細な一言が、知らないところでその人をずっと勇気づけていることがある。
かわいい人にかわいいね、と言うように、スポーツ選手に足が速いね、と言うように、こんな当たり前な言葉でも、その人を救うものになるのかもしれない。
誰かがいつ自信をなくしてるかなんて、意外と人は気付けないものだ。いつも輝いていて、褒められ慣れてそう、なんて思える人でも、言葉を欲していることって実はたくさんある。
その一言も、いいねもツイートもコメントもメモも、誰かの瞬発的なエネルギーになれば、一生ものにもなりえるんだと。
そんな素直な言葉で溢れたら、みんなもっと幸せだ。わたしは、いつもちゃんと伝えられているだろうか。
チャンワタシ(ちゃんわたし)
1990年生まれ。Webメディアの編集者をしながら、2017年6月よりフリーライターとしても活動中。取材記事・コラム・エッセイなどを手がける。日常の気づきを綴った『note』が人気。
Twitter:@chanwatac
note:https://note.mu/hoshinc
松野 正也(まつの まさや)
株式会社アマナイメージズ取締役。2007年グラフィックデザイナーとして株式会社アマナに入社、CI/VI開発・制作に携わる。2009年からamanaimages.comのWebデザイン・サイト運営を担当。現在は、主に広告制作マーケットに向けたストック商材のクリエイティブディレクションを担当している。