ストックフォトサービスのアマナイメージズ、WEB接客ツール「KARTE」を提供するプレイド、日本最大級のクラウドソーシングサイトを運営するクラウドワークス共催で開催した、コンテンツマーケティングセミナー。
『「作って終わりにしない」コンテンツマーケティング~コンテンツ価値を最大化するために今できること』をテーマに、クラウドワークス・アマナイメージズ・プレイドの3社が登壇し、近年、コンテンツマーケティング・SEO市場環境が激化する中で、本当にユーザーに選ばれるコンテンツを「作る・磨く・届ける」ということを中心にマーケターの皆さまに向けて講演しました。

 

「量産かリッチ化か?いま求められているコンテンツの傾向と、作り方のポイント」

株式会社クラウドワークス 古田 皓也 氏

コンテンツマーケティングで大切なことは、主に「集客」と「育成」かなと思っています。
潜在層、見込み層、購買層、リピート層、というよく見る購買ファネル。
まず、それぞれの層に横軸で「集客」する。
それに加えて各集客した層を「育成」する。
この両方が揃って、コンテンツマーケティングと言えるのだと考えています。


色々な方とお話していると、いいコンテンツをつくる「集客」というところを強く意識してしまって、「育成」に力が及ばずコンバージョンできない、ということが多くあるようです。集客して終わりではなく、育成(リピート)するということを念頭においていただければと思います。

購買ファネル

 

その上で2つ大切なことがあると思っています。それは、ユーザーの集客戦略(お客さんをどうやって集めるか)とユーザーの育成戦略(お客さんをどうやって一つ上の層に育成するか)です。
Organic、Referral、Paid、Social、Directなど様々なチャネルがある中で、今日詳しくお話するのは「Organic」です。SEOについてお話していこうと思います。

まずは事例紹介として、弊社の「はじめようフリーランス!」というサイトでの施策をお話します。このサイトでは「フリーランス」の関連ワード1位を目指していましたが、最初は箸にも棒にもかからない状態でした。しかし現在では一定の成果を得られています。

ではどんなことをやったのかというと、


集客戦略を練る

目的:フリーランスの会員登録
目標:フリーランスの関連ワード1位を目指す
コンセプト:フリーランスを総合的にサポートする
想定読者:フリーランスになりたての人
メディア名:はじめようフリーランス

本当はもっと年収とか性別とか、詳しいペルソナ設定をします。
サイトの構図ですが、「フリーランスを総合的にサポートする」というコンセプトに基づき、ニーズに合わせてカテゴリの切り分けを行いました。
カテゴリは、基礎的な知識、税金の知識、職種・仕事、(フリーランスに)なるには、成功と失敗、悩みという6つをつくり、その配下に記事を置きました。


次に、各ページに対策するクエリ(質問・疑問)を割り当てます。
・検索ボリュームが大きいクエリであること
・コンバージョンを狙いたいクエリであること
がここではとても大事です。

渡辺隆広氏著の「検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書」によると、検索順位決定に作用するのは、テキスト要素、リンク要素、トピック要素。この中でも、個人的には「トピック要素」が一番大事だと思っています。
トピック要素とは「そのページの情報分類」。トピック要素が明確であればあるほど、クエリとの関連性を高めることができます。
例えば、あるページに「アップル」と書いてあるだけでは何のことか分からないですよね。ただ、「アップル」に「企業情報」「製品一覧」という情報が紐づけばGoogle Botは「企業のアップル」であると判断し、一方で「生産地」「農家の声」という情報が紐づけばGoogle Botは「果物のりんご」であると判断することができます。

トピック要素を高めるためには、そのページ単体のマークアップ(hxタグにキーワードを盛り込む、関連語・共起語を意識する)だけでなく、構造(カテゴリページとその配下にある個別ページ)を意識すると良いと思います。
例えば、とある女性向けのメディアだと、「美容」クエリの月間検索ボリュームカテゴリページ単体では「美容」での検索結果1位獲得は難しかったものの、カテゴリページ配下に同じトピック要素を高めるような個別ページを盛り込んでいます。


コンテンツを制作する

もちろん、ただ単に記事を量産すればいいわけではありません。一昔前だと、数が多ければ評価が高くなると言われていたりしたのですが、今は違います。

では実際どうすればよいのかと言いますと、次の2点が挙げられると思います。

1.個別記事に評価が蓄積
2.評価の高い記事をつくる

まず、2の「評価の高い記事」をつくるために、まずは評価される記事のポイントをおさえましょう。評価される記事とは…
・網羅性(幅) クエリ(質問)に対して全力で回答をする
・専門性(深さ) 難しい話を、具体的にわかりやすくする
・独自性 競合にはない見せ方や、切り口で伝える
私は、この3つだと考えています。

では実際どのようにコンテンツをつくっていくかお話ししていきます。

まずは、発注書の作成です。ここ、ライターさんに丸投げせずに、しっかり作ることが大事なのです。以下の2つのポイントが特に重要です。
・読者想定 対策するクエリを検索しそうな読者について考える。
・構成案作成 タイトル、導入文やキーワードなど記事の骨格となる部分はつくる。

 

例えば、「ペア マグカップ」に関する記事を書くとします。

<網羅性(幅)・読者想定>
「ペア マグカップ」と検索するユーザーはどんな人?ということを想定するのですが、その際、クエリ1個1個について検討していきます。また、同時に潜在的な希望についても考えることが大切です。

潜在的な意図を考えない場合:
「ペアのマグカップが欲しい人」をターゲットとした記事
潜在的な意図を考えた場合:
「パートナーと仲良くなりたいと考えていて、その手段としておそろいのマグカップのプレゼントを考えている人」をターゲットとした記事


<網羅性(幅)・構成案作成>
タイトルと導入文と見出しはある程度こちらでコントロールするようにしましょう。読者想定をすることで「踏み込んだ」内容にしてください。
例)「カップル」「ラブラブに」のような、前に立てた仮説にあわせて適切なワードを入れる。
 

<専門性(深)>
ここは、ライターのアサインです。餅は餅屋にではないですが、テーマにあわせた知識をもっている人にお願いできるのが理想です。例えば美容の話であれば、フリーのライターさんよりも、主婦のライターさんに頼むなど、知っている人の視点から書いてもらえるとよいと思います。
 

<独自性>
GoogleAnariticsなどを見てみて、記事の滞在時間が短いな…というとき、どうしたら長くできるか、というのを考えるのも重要です。例えば「はじめようフリーランス!」では、記事の下に漫画をつけてみました。このサイト内には6人のキャラクターがいるのですが、それぞれ独自のキャラ設定を定め、サイトへの親しみやすさを演出しています。


事例をもとにお話を進めてきましたが、皆様のコンテンツマーケティング施策にお役立ていただけると幸いです。
 


 

「多様化するコンテンツマーケティングにおけるビジュアルブランディング」

株式会社アマナイメージズ 新居 祐介 

どんどん多様化していく「コンテンツマーケティング」。ブームが広がり言葉が認知されるようになってから数年経ちましたよね。
皆さんの中にも「まずはオウンドメディアを作りましょう」「ファンをつくりましょう」というようなところからスタートしている方も多いのではないかと思います。

コンテンツマーケティングを取り巻く環境としては、
・デジタルマーケティングへのシフト
・多くの企業が既に取り組み始めているために、コンテンツが埋もれてしまう
・DMP(データマネジメントプラットフォーム)の活用 など
様々なお悩みが生まれてきていることかと思います。

従来のコンテンツマーケティングの「オウンドメディアを中心に、見込み客に喜ばれる情報を発信し、自社を見つけてもらう」というところから、これからはデジタルマーケティング戦略として「いかに”見つけて”もらうか」が重要になっている、と私は考えています。

広告手法の変化により、ニュースサイトなど他コンテンツに紛れて自社コンテンツが表示されることも多いですよね。

 

コンテンツマーケティングにおけるビジュアルの課題とは?

コンテンツの中身を向上させていくということも重要ですが、ビジュアルの質を上げると差別化も図れるのではないかと考えます。
アマナイメージズへいただく問い合わせとして、「新たにメディアを立ち上げたい」というご相談が増えているのですが、最近では「既存コンテンツの写真を、よりよい写真へ差し替えたい」というご相談も増えてきています。
また、当初は予算がなく、フリー素材・無料素材を使用していたという企業の担当者より、「著作権問題などのリスクを回避するため、権利問題がクリアされた安全な写真へ差し替えたい」というご相談もあります。

 

差別化のカギは“ビジュアル”

著作権問題はもちろんですが、テキストだけでなくビジュアルにも質が求められてきている昨今、一貫したビジュアル戦略に基づいてコンテンツをつくっていくことが必要となってきていると感じます。
広告・Webサイト・パッケージ・店舗のデザインなどもそうですが、一貫したビジュアル戦略が立てられているところは、ビジュアルを見ただけでどこのブランドかわかってしまいますよね。
一貫したビジュアル設計のもと、戦略的にコミュニケーションを行うことを我々は「ビジュアルブランディング」と呼んでいるのですが、究極的には、使用している色や写真など、コピーなどの文字情報がなくとも、ビジュアルをみただけでどこのブランドかわかるというところが目指すべきポイントだと考えます。

とはいえ、なかなかここまでのブランドを築きあげるのは簡単なことではありません。
そこでビジュアルブランディングの手法として、皆さんにお伝えしたいのが「エモーショナルスケール」というものです。
アマナグループで考案し提唱しているものなのですが、11のテイストにビジュアルを分類しそれを言葉に置き換えることで、ブランドコンセプトにあった写真を見つけるという手法です。
縦軸に「ソフト」「ハード」、横軸に「ウォーム」「クール」を置き、この軸を基準に形容詞的な表現・キーワードを配置します。

アマナグループが提唱する「エモーショナルスケール」

 

この中に、ご自身のブランドのイメージや写真を置いていくことで、より明確なビジュアル設計をしやすくなると考えています。また、メディア編集チームなどにおいては、ペルソナ(読者)にあった写真の選定や、編集チーム内でのイメージの確認にもご利用いただきやすいと思います。

例えばF1層の女性がペルソナだとしましょう。F1層の女性、と言われても頭の中に思い浮かべる方は人それぞれですよね。それを「こういう感じだよね」というのを明確に言語化したり可視化したりすることができるので、ペルソナのイメージを共有できるようになります。
ペルソナにビジュアル定義を加えることはとても重要だと考えます。人によって受けるビジュアルの印象は違うので、1つの写真でも、ある人は「エレガント」と思ったり、ある人は「オーセンティック」と思ったりするものです。
周りの人たちの中でちゃんと話して、「この写真はここに当てはまるよね」などと定義すると、よりペルソナに対するイメージが共有しやすいと思います。

また、「このペルソナにはこういう写真が刺さりやすい!」と予め定義しておくことで、これに基づいてビジュアルを選びやすくなりますし、コンテンツマーケティングが一貫したブランディングのもと進められると思います。皆さまのコンテンツマーケティング設計の際にお役立ていただけると幸いです。


 

「コンテンツ価値最大化へのウェブ接客サービス“KARTE”の活用法」

株式会社プレイド 堀内 直人 氏
 

私たちの会社のミッションは「サービス体験の個客最適化(パーソナライズ化)」です。
Web上で展開されているコンテンツは、どのユーザーにも一様に提供しているのが現状なのではないかなと思っています。そこに対して我々は課題を感じています。

コンテンツマーケティングで大事なことは「ユーザーの状態に合わせて適切なコンテンツを届けられているか?」ということだと考えており、相手の状態に合わせて表示する情報を最適化することが重要です。我々が提供している「KARTE(かるて)」というツールでは、ユーザー一人ひとりの動きを可視化することができるので、コンテンツマーケティングにも有効なサービスだと思います。

 

記事の価値を決める4つのポイント

コンテンツマーケティングを進めていく上で、記事においての役割があると思うのですが、大きく4つに分けてみました。
まずは外部からのお客さんを連れてくる「集客力」
そして記事を最後まで読んでもらえる「閲覧力」
読んだ後に別の記事に遷移してもらい回遊を促す「誘導力」
コンテンツ内で、設定されたKPIを達成できる「成果力」
最終的には、このコンテンツでナーチャリングされたユーザーを本サイトへ誘導して、商品の購入など本来の目的に導いていくという流れかなと思います。

「閲覧力」はコンテンツの中身、コンテンツ自体のクオリティに関わってくるところ思うのですが、それ以外の「集客力」「誘導力」「成果力」はKARTEを活用いただくことで、効果を発揮できると考えています。
本日はこの「集客力」「誘導力」「成果力」の3つの軸で、過去の事例を交えながらお話していきたいと思います。

 

「集客力」をアップさせるためのKARTE活用施策

コスメ系ECサイトで課題を解決した事例です。商品点数が非常に多いサイトでしたので、「どういうシャンプーがいいのか」「どんなトリートメントがいいのか」という悩みを解決するため、それぞれを比較するというような紹介記事がコンテンツとしてあったのですが、直接的にその記事が購入につながるというものではないという性質上、もともとのバナー掲載位置はトップページのフッター部分でした。

そこでKARTEを活用して、「シャンプー」「トリートメント」などのカテゴリ名で商品を探していて、いくつかの商品詳細ページを複数閲覧した人に対して、先ほどのコンテンツをサジェストし、ユーザーの行動・ニーズに合わせて情報を提供することによって記事の価値を上げられたという事例です。
「ターゲットを捉え、適切なタイミングでコンテンツを提供する。」ということが大事だと、私たちは考えています。

 

「誘導力」をアップさせるためのKARTE活用施策

続いて「誘導力」に関するお話です。コンテンツマーケティングでは、オウンドメディアで商品理解・ナレッジ共有の記事を閲覧してもらい、商品やサービスの理解を深めナーチャリングし、本サイトへのお問い合わせにつなげるという施策がよく見られます。KARTEでは、ある記事を読んでいる方にポップアップで「こんな記事もおすすめですよ」と他記事レコメンドを実施して、回遊性を向上させます。
通常Facebookなどソーシャルからのアクセスだと離脱率が上がりがちなのですが、せっかく来ていただいた方にはより多くの情報をお届けしたいというニーズがあります。リフォームやインテリアに関するキュレーションメディアの事例では、「誘導力」アップのお手伝いをさせていただきました。

記事を最後まで見終わったタイミングで、過去に閲覧した記事のカテゴリから記事レコメンドを行えるよう設定し、平均して回遊率350%の改善をすることができました。
レコメンドのタイミングというのは非常に重要で、タイミングを間違えるとただのノイズになってしまいます。しかしKARTEでは、過去のユーザーごとの閲覧記事のデータを蓄積しています。このメディアは記事にキーワード設定がされていましたので、そちらを合わせて取得することによって、このユーザーが好きな記事のジャンルを特定することができます。閲覧しているキーワードごとの最新上位記事をレコメンドすることができ、また過去に閲覧したことのある記事はその候補から削除するということも行いました。表示のタイミングに関しても、スクロールポイントも取得していましたので、コンテンツを読了したかどうか判別しタイミングに合わせて表示することができました。

 

「成果力」アップのためのKARTE活用施策

最後に、とあるBtoBの会社様のサイトで行った「成果力」アップの施策についてお話します。ここでは、ホワイトペーパーの提供をKPIとして設定しました。サイトをご覧になっている方に対してポップアップで表示をしたのですが、細やかな定量的なリード判定(来訪回数・閲覧PV数・滞在時間)を行い、表示する設定にしました。この施策後、KARTEを通じてのホワイトペーパーのダウンロード数が、全体の半数を占めるほどになりました。
適切な顧客に適切なタイミングで提供することにより訴求力が高まり、結果として成果につながりやすくなったということが分かる事例です。

皆さまのもとに既にあるコンテンツは立派な資産です。その資産を眠らせたままにしておくのはもったいないと考えます。どのようにユーザーに合わせて適切なコンテンツを届けられるかということを皆さまも考えてみていただければと思います。


 

ユーザーに選ばれるコンテンツを「作る・磨く・届ける」ヒントは見つかりましたでしょうか?今後もPORTFOLIOでは、ビジュアルやクリエイター、コンテンツマーケティングに関するセミナーを開催・レポートし皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
また、本セミナーレポートで興味を持たれたサービスがごさいましたら、是非お問い合わせください。