LIG×アマナイメージズがお届けするコンテンツマーケティングセミナー第2弾。

今回ご登壇いただいたのは「LIGブログ」でおなじみ株式会社LIG渋谷匡志氏と、広告制作・ストックフォト業界大手である、株式会社アマナイメージズ 代表取締役社長 新居祐介、また、現在アマナイメージズと共同で成果の出る広告用画像を研究しているシナジーマーケティング株式会社 後迫 彰氏の3名です。

2回に渡ってお届けする前編では、LIGブログ編集長渋谷氏よりLIGブログでの実際のデータをもとに解説いただいた、アクセス数をアップさせるための具体的な手法と、SEOを目的としたライティング手法についてお伝えします。

まずは前編、株式会社LIG 渋谷匡志氏のセミナーパートの様子から。

LIGブログ開設のきっかけは、2012年にWeb制作会社として認知度をあげるためにコーポレイトサイトをメディア化したのが発端とのことで、そこから運営4年目となる現在のブログのアクセス推移と、PVが減少した時に行われた対策について解説いただきました。

LIGセミナー第2弾

LIGで実践したPV減少対策

渋谷氏:運営開始当初反響のあった、社長を砂浜に埋めてみたり、スタッフの嫁をブログ上で募集してみたりといった記事を経て、今現在大体月間550万PVを保っています。LIGブログのメディアの指標として、PVを増やすという事があるので、PVの減少については都度分析し、適切な対応を行うようにしています。現在の主な流入元が1.検索流入(81.53%を占める)と2.ダイレクト、3.FacebookなどのSNSの順となっていますが、1年前に比べると20万ほど減少している状況だったので、理由を分析し対処したところ、今叙々に持ち直している状況です。具体的な対処としては、オウンドメディアの運営はこれに尽きるかと思いますが、SEOを意識した記事にリライトしました。公開されている全体5000記事の中から検索流入の多い記事をピックアップし、その中でも流入の減り幅が大きいものを順番にリライトしていきました。

SEO対策:キーワード、タイトル、ディスクリプション、共記語などの見直し

渋谷氏:開設当初の記事はSEO対策が十分でなかったため、そもそもキーワード設定がされていなかったり、設定したキーワードが内容にそぐわなかったりという部分があったので、見直し、リライトしています。タイトル、ディスクリプションについても、サーチコンソール上で見た時に、掲載順位が高いのにCTIが低い記事をピックアップし、見直しを行いました。これは今現在も進行形で、粛々と作業を行っています。

また、検索意図にあった内容に記事情報自体もアップデートしています。

検索しているユーザーがどんな記事を求めているのか?どうゆう情報が欲しいのか?というニーズに合わせて記事情報を更新していくことが必要だからです。共起語というのは、あるキーワードを検索した際によく出現する関連するワードの事を指しますが、共起語が入っていないとそのテーマに沿って記事が書かれていないと判断されてしまうので、きちんと共起語検索ツールなどを利用して入れるようにしています。

ここで一部、リライトされた事例をご紹介。

Facebookのアカウント削除方法は?退会方法を調べてみた【2016年版】

・最初に公開した時と方法がまったく変わっていたため記事の内容をアップデートし、フルリライト。

ニコン?キヤノン?デジタル一眼レフカメラ初心者にオススメの選び方

・1眼レフの選び方 カメラモデルが古かったため、情報を更新されています。

【通夜・葬儀・告別式】服装や時間など必須マナー5つと基礎知識【保存版】

・服装というワードでの流入が多いのに対して、元々タイトルに服装という言葉がなかった記事。

タイトルディスクリプションの見直しに加えてアイキャッチも更新したところ、大きく改善がみられたそうです。

LIGセミナー第2弾

SNS対策:Facebookにはおじさんが住んでいる!?

渋谷氏:このように記事の見直し・リライトを行っていったわけですが、Facebookのリーチも下がっていたので、SNS対策も行いました。具体的には私の方でFacebook用に25個の記事をアップして、傾向を確認していきました。そうした中で、ここからは個人の感想も混ざりますが、下記のような傾向性が分かってきました。

~FBリーチ数の高い記事の特徴(LIGの場合)~

・アイキャッチに女性がいる

・(男性の)願望をかなえる系

・デザイナー向け

・仕事が嫌い系

・お金がない話題

・ネタもの

などなど。このような結果から、LIGのFacebookにはおじさんが住んでいるのではないかと思い、ペルソナ設定を男性、年齢は不明だが中身は「おっさん」に設定しました。webデザイナー、ベンチャー、ブラック、女性が好き。女性からの目線が気になる。といった具合です。

渋谷氏:また、僕個人の感想としてFacebookのアルゴリズムはモバイルとPCで違うと感じています。特にモバイルは動画が多く、動画が優遇されているような印象を受けます。そして何故か僕のFacebookにはLIGブログの広告は全く出てきません。LIGブログ編集長なので必要ないと判断されているのかどうかは分からないですが。

対策として、IA-InstantArticles を入れてみたりもしました。IAはFacebook側で記事情報を持つので、記事をクリックしたときにFacebook上で記事情報が表示されるのが格段に早くなるというツールで、当時これを導入するとFacebookのアルゴリズムで優先されるのではないかという期待があったのですが、実際にやってみたところそこまでリーチ数が変わらなかったのと、LIGブログの記事の体裁に合わないためやめてしまったという経緯があります。

LIGセミナー第2弾

3カ月で100万PVは可能なのか?

渋谷氏:先日別の勉強会で「3ヵ月で100万PVは可能か?」という質問を受けました。結果難しい、という結論には至ったのですが、仮に運用を回すとしたらどうゆう状況になるのか簡単にシュミレーションしてみたいと思います。あくまで机上の話ですが、メリットデメリットを合わせてお話します。

■バズだけで狙う
渋谷氏:1記事5万UUとれるのであれば、月10本くらいで達成できますが、運営側にバズる企画を立てられる人員が必須であることと、実際のところ5万UUをとるのってジャンルも絞られますし、なかなか厳しいです。

■検索流入だけで狙う
渋谷氏:1記事1000UUとれる記事200本、150本、150本ずつ書くと3ヶ月後に300万UUに至る計算ですが、やはりかなり大変です。記事数100本をアップできる人員がいるのかという点と、昨今話題にもなっているコンテンツのリーガルチェックも必要と考えると、なかなか実現は難しいところです。

■バズと検索と広告とメルマガと
渋谷氏:Facebookに載せたコンテンツに、広告を入れてみたり、他の媒体のネイティブ広告として出稿したり、自社のメルマガ、バナーなどを使った場合、メリットとして広告に頼る分、運営の負担が他部署に分散される可能性がありますが、編集コスト以外に広告運用のスキルや知識が必要になるため、結果、やはりかなり難しいということになります。

結論として、以下のことが言えると思います。

・3ヶ月100万PVはお金も人的コストもたくさんかかる。

・体力のない会社(体制)で狙う数字ではない。

・そもそも100万PVの達成がどうして必要なのか、理由を明確にする必要がある。

・メディアを運用するなら、コンテンツ制作以外に流入できるチャネルを洗い出し、広告等にかかるお金もちゃんと試算しておくこと

・協力会社と一緒にやるのがベター

このような点もふまえて、自社のメディア運営の方向性について考えてみていただければと思います。

まとめ

・SEOを意識したライティングは最初から積極的に行うべし。

・定期的にコンテンツの分析とアップデートを行うべし。

・Facebookはおじさん向けに記事を書くべし(あくまでLIGブログの場合)。

・いつまでに100万PVなど、目的が明確でない数値目標設定をしない。

-メディア担当者にとってはとてもありがたい、具体的な事例と対策が詰まった内容を伺うことができました。

渋谷氏にご紹介いただいた対策も参照しつつ、自社に合った、よりよいメディア運営の形を社内検討する際の参考としてもご活用いただけると幸いです。