素材1点あたり145円〜のストックフォトサービス ForYourImagesと人気のライターカツセマサヒコさんのコラボ連載企画「妄想寫眞」の第一話、舞台は表参道です。
記事内の写真はForYourImagesにて公開中

========= 

東京にはいろんな人がいて、すべての人に物語がある。何処を歩くにも理由や目的があり、いずれ何処かに辿り着く。同じように、景色も移り変わる。歩けば歩くほど色や形を変え、その場所毎、人毎にまた物語が生まれる。僕はスマートフォンをカメラモードにしながら街を歩く。シャッターを切りながら妄想する。「たとえばこの場所で、こんな人と、こんなことがあったら」頭の中でまたひとつ、物語を作る。

 

表参道から徒歩圏のボロい1Kに住む同棲カップルになって、月曜の朝に「今日、重力おもくない?」「わかる、なにこれ」みたいな会話をしたい。ふたりとも仮病つかって会社に連絡いれて、急に軽くなった身体で再びベッドに飛び込むやつもやりたい。起きたら手繋ぎながら財布だけ持って、散歩したりもしたい。

 

歩道橋を上らないと渡れない道があって「39…40…!」って数えながら上って、頂上で「つらー!」「衰えた衰えた」とか言って笑い合った後、「ん」って優しくキスするやつをやりたい。それをたまたま通りがかったおばあちゃんが見てて、慌てて目を逸らしたときに見えた景色が線路とかだったらなんかエモくていい

 

表参道のキャットストリートみたいにダラっとしていてかつオシャレな雰囲気の道を、ショートボブが似合う女の子と手を少し大きく振りながらゆるく繋いで歩いて、「何しよっかねえ」「アイス食べたい」「いいねえ。パピコかソフトクリームどっちがいいかねえ」「あ、それは迷うなあ」みたいなやりとりを一生していたい

 

住宅街に迷い込んで「あれ、ここどこらへん?」「こっちで表参道戻る?」とか迷子を楽しみたいし、途中で金魚が店先に出ているお店を見つけて、「あ、金魚」「ほんとだ」って言っておもむろに二人でスマホを取り出して「あ、そのアングルいい」「でしょ?」とか勝手にフォトコンテストを開催して盛り上がるやつもやりたい

 

会話もせずにブラブラと街を歩いてたらあまり人が通らなそうな小道を見つけて、誰もいなくなるまでゆっくり歩いてから、「ん」ってまたキスするんだけど、それが少し深いキスでなんかちょっとスイッチ入りそうになるやつで、終わってから「平日午前中から何してんの笑」って少しの背徳感に包まれて笑い合うやつがやりたい

 

「たとえばこの場所で、こんな人と、こんなことがあったらいいのに」。
そう思いながら、スマートフォンのカメラモードを解除すると、また別の物語を探しに、次の街へ向かう。

記事内の写真はForYourImagesにて公開中

カツセマサヒコ

ライター/編集者。編集プロダクション・プレスラボを経て、2017年4月よりフリーに。 広告記事・取材記事・コラム・エッセイ・小説の執筆等を中心に「言葉」を扱う領域を縦横無尽に駆けまわる。 趣味はスマホの充電。

Twitter : @katsuse_m

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でPORTFOLIOをフォローしよう!

コメント

comments