【プロフィール】花渕浩二花渕浩二

フードフォトグラファー
パンフレット、カタログ、広告など料理をメインにライフスタイル全般の撮影まで幅広く手がける。 国際料理斗写真機構でアニメ、スポーツ、音楽を料理と写真で表現するフードユニットとしても活動中。


※この記事はamanaimages.comで過去に掲載されたものです

花渕浩二さんにお話を伺いました

注目の若手フォトグラファー、花渕浩二さんにお話を伺いました。ヱヴァンゲリヲン公式プロジェクトのサイト「RADIO EVA」内でヱヴァ飯を連載されるなど、多方面で活躍されている花渕さんの「写真」と「食」への想いが伝わるインタビューです!ぜひ最後までお読みください。

 

──フォトグラファーを目指したきっかけを教えてください。

18歳で上京して、都内の古着屋さんで「天」というフリーペーパーを見つけました。そこに掲載されていた恋人たちの日常風景の写真を見て「写真ってこんなに雄弁なんだ」と感動し、「写真は言葉以上に伝えられることがある」ということを知りました。そこから写真に興味を持ちだし、大学の夏休みにバックパックで旅したりする時にカメラを持って出かけて写真を撮るようになりました。そんな中で、なんとなく卒業後はカメラマンになろうと思っていました。

──大学で写真の勉強をされたのですか?

いえ、法律学部でした(笑) 写真はほぼ独学で学びました。
大学生の時にclubkingでフリーペーパーdictionaryの編集アシスタントをしていて、そこでアートやファッション、音楽など、様々なクリエイターと交流するの中で今まで自分が知らなかった世界を知ることができたことも、自分自身がクリエイターになろうというきっかけだったと思います。
カメラマンになるって決めてからは就職活動はせず、大学卒業してからはアルバイトをしながらブックを作ったりしていました。フリーで活動しながらアルバイトでアシスタントをして、なんとか食い繋いでました。

hanabuchikoji

──「食」を専門にされるようになった経緯を教えてください。

グルメGyao(現ヒトサラ)で契約カメラマンとして料理の撮影をしたことがきっかけで、料理を撮り始めました。自分自身、そんなに凝った料理を作る方ではないのですが、その仕事をきっかけに「食」というものにとても興味を持ちました。たくさんの料理を撮影しながら、料理写真の技術も身に付けていきました。
最初は、料理の撮影が初めてだったこともあり、ぜんぜん上手く撮れなくてすごく悔しくて、とにかくいろいろな料理をいっぱい撮りました。とにかく負けず嫌いなんです。そうしているうちに、いろいろな表現ができるようになって、料理を生業にしていこうと決めました。
食撮影の仕事を始める少し前にclubkingでお世話になった方が独立して、その方のお仕事のお手伝いをしていたのですが、そこで会うクリエイターの方々に自分のブックを見ていただくと、作品の評価が今一つで・・・もともと興味が赴くままに撮影したコンセプトの無いブックだったので伝わりづらいというのもあったと思いますが(笑)
このままではダメだなと感じて、僕自身がこの世界に足を踏み入れるきっかけになり衝撃を受けた写真のように「誰かに何かを伝える/衝撃を与える写真」を撮るにはどうしたいいか?もとより自分は何を表現したいのか?自分の初期衝動を改めて考え直す良いきっかけになったと思います。そして偶然出会ったのが「食」でした。

──花渕さんの写真からはファッションが感じられますね。

「色っぽい写真を撮ろう」という意識があります。「色気」のある写真。女性を撮ってる感覚というか。と言ってあんまり人物は撮ってないんだけど(笑)そこに様々なカルチャーのエッセンスを加えていく。色っぽいって美味そうってことだと思っています。

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──花渕さんの仕事のスタイルは?

やりたいと思っている仕事は自分で取りに行かなければいけないと思ってます。営業も自分でやりますので、クライアントさんとダイレクトでお仕事することが多く、クライアントさんのイメージを具体的な形にして提案しながら仕事を進めます。
国内の某有名高級ホテルのウェディングパンフレットのお仕事では、料理をメインにしたいというお題がありましたので、地場で採れた野菜をフラワーコーディネーターにアレンジしてもらって撮影した作品を提案しました。そのクライアントさんからは、自分が何か面白いことをやってくれると信頼してもらっているので、まるっと任せてもらっています。

──個人の活動だけでなくチームでの活動でも活躍されていますね。

メルヘンキャンプや国際料理斗写真機構など、いろいろやってますね。国際料理斗写真機構はヱヴァ飯をスタートするにあたりつけたユニット名です。EAT TOKYOで出会う人脈から仕事の輪が広がっていきました。

──ヱヴァ飯について教えていただけますか?

始まった経緯は、前職でお世話になっていたプロデューサーの方と久々にお会いして、RADIO EVAというサイトでヱヴァンゲリヲンをコンセプトに面白い取り組みをしてると聞き、「ヱヴァを食で表現していいですか?」って提案したらOKをもらって。
ヱヴァ飯を撮影するにあたって、アニメ好きな人たちの食生活をヱヴァンゲリヲンを通して豊かなものに出来れば良いなと考えて提案しました。今までは食に興味がなかった人たちが初号機カラーの野菜の集合を見て「野菜ってかっこいいんだね」とか「キュウリヤバいね」みたいな(笑)
他のカルチャーと絡めて、単純に美味しそうに撮るというアプローチから違う角度で食を多角的に捉えた表現をしてみたいです。それを見た人が少しでも食に興味を持ってもらえたら良いなと思ってます。

──アニメに出てきた料理を再現するっていうのはよくありますね。

説明的な写真にはしたくないなと思い極力ミニマムな表現で構成しました。例えば配色とか形でヱヴァっぽいとか、わかる人にわかれば良いみたいな(笑)以前ヱヴァンゲリオン映画シリーズ監督の1人にお会いした時に「ヱヴァ飯いいね!」って褒めてくれたときは嬉しかったです。

──ストックを始めたきっかけはなんですか?

売りたいというより、作品を撮るきっかけになればと思いました。新しい表現にチャレンジする目標として、仕事に繋がる目標として。
作品作りにおいては空気感や奥行き、ストーリーを写真に写り込ませたいと思っています。料理には、料理を作った人、お皿があり、使われた食材、食材を作った人、食材を育んだ土地・・・一つの料理から数えきれない物語がある。その一つ一つの物語を語れる雄弁な写真を撮りたいと思っています。今後はもう少し人物を入れたものも撮りたいですね。

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──アマナイメージズに期待することは何ですか?

「あこがれ」であって欲しいなと思います。他にはないカッコイイ面白い写真があるとか。業界のレベルを上げてほしいです。業界のクオリティをあげるような活動をして欲しいですね。

──今後の活動についてお聞かせください。

世界を視野に活動をしたいと思っています。今年は海外の出版社から作品が出ますが、ワールドワイドに仕事をしていきたいです。食文化はどこにでもある!それから、海外に行ってつくづく思うのが日本の食文化のレベルの高さ。そういう日本の食文化を後世に残すことを写真でできればと思います。

──今考えている企画はありますか?

おにぎりとマザコンをテーマにした作品。日本の食文化はマザコンが守る!みたいな。日本人の男性に好きなおにぎりを聞くと、だいたい母親の作ったおにぎりって答えるんですよね。「親と子の繋がりがまた次の世代に伝承されて行くんだ」みたいなことをやってみようと思っています。
って言って、企画アイデアを口にしてお尻をたたくんです。もう一つあるんですけどそれは言わないです。実現できるか分からないんで(笑)

(2012年11月27日 インタビュー)

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