Jay Hiranoというフォトグラファーの名前を聞いて、思い浮かべる写真は人によって違うかもしれない。モータースポーツ「フォーミュラ1(F1)」、ストリート・フォト、ミュージックシーン、ポートレート、と様々だろう。どんな写真も器用に撮れるということ? 彼の写真から受けた印象はそうではなかった。Jay Hiranoが写真という表現方法を使ってつたえるものを知りたい― そんな思いで扉を開いてみた。
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文 :伊藤 章彦
(アマナイメージズ『Portfolio by amanaimages』編集チーム Editor at Large)
写真:Jay Hirano Photography / amanaimages
Jay Hirano--「楽しい」を周りに伝播させていく人だな、と話し始めてすぐに感じた。日焼けした顔と快活な語り口は、灼熱と轟音の中でF1写真のシャッターを切る生活とピタリとはまる印象だが、元々は色白だそうだ。
1983年北海道生まれ。高校卒業と同時にイギリスに渡り、ミュージシャンとして、バーの経営者として、ロンドンの街に溶け込んでいった。その頃から、Jayには、『楽しい』をいろんな形で伝え、周りを取り込んでいく力があったのだと思う。
そんな彼がその目で捉え「カッコいい」と感じるものに垣根はない。写真からも伝わるが、彼はストリート・フォトグラファー。2020年には、コロナ禍でこれまで見たことのない様相を呈したヨーロッパの街並みをフレームに収めていった。この2年間で撮った写真からは、誰も見たことのなかった都市の静寂さと、人の営みの根幹が感じられる。
その時、その場所でJayが感じた全てを、写真という一枚の中に凝縮して表現するのは、「伝えたい」という思いの強さの現れなのか。スペイン・バルセロナの裏路地を捉えた一枚からは、夜の静けさと、漏れてくる音楽とが同居している様が伝わる。乾燥した気候は路面に水鏡をなかなかつくらないが、その一瞬で捉え、表現したい世界観を作る。いつも全身で自身がいるその場、その時を感じているのだと思う。
彼がF1を撮るのは、『世界で一番危険なストリート・フォトグラフィー』だと思うから。
サーキットを飛び出して、公道をF1マシンが走り抜ける時、それはもうストリートフォトの世界になるというのだ。耳を突き破るようなエキゾーストサウンドの中、次々と高速で駆け抜けるF1マシン。普段なら距離をおくような極限の危険をすぐ脇に見ながら、軽食を楽しむ人の陶酔の姿はJayを惹きつけてやまない。
彼が、これからどんな写真を撮っていくのか、楽しみでならない。Jay Hiranoがその肌で感じ、捉える視線の先にある世界を、アマナイメージズとしてこれからも発信していきたい。
現代的なグルーヴ感のあるJay Hirano作品は、報道、広告、出版、商品化などにお使いいただけます。使用方法、検索などはお気軽にアマナイメージズカスタマーサポートまでお問い合わせください。
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